1999年11月13日、名古屋市西区のアパートに住む主婦・高羽奈美子さん(当時32)が、何者かによって刺殺された。奈美子さんは、95年7月7日、11歳上の悟さん(69)と結婚。2人は不動産会社の同僚だった。そして容疑者は、悟さんのよく知る人物だった。

 

 現在配信中の「週刊文春 電子版」および発売中の「週刊文春」より記事の一部を抜粋してお届けする。

「まさか、あんな大人しい子が……」

 長らく未解決だった名古屋主婦殺害事件。犯行から26年後、犯人の女が警察に出頭してきた。被害者の家族と警察の執念が実った瞬間だった。学生時代は「大人しいタイプ」だったという彼女は、なぜ凶行に及んだのか。

 容疑者の名前は安福久美子(69)。長らく未解決だった事件の犯人は、悟さんもよく知る人物だったのだ。

「まさか、あんな大人しい子が……」

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アパートの玄関に残された血痕を見つめる高羽悟さん ©時事通信社

 悟さんを思わず絶句させた安福。彼女はなぜ、凶行に及んだのだろうか。

「彼女のことを好きになる男子がいてもおかしくない」

 1956年に生まれた安福は、2人姉妹の長女として名古屋市で育った。悟さんと出会ったのは、高校に入学した72年の春。

「通っていたのは、名古屋市港区の県立惟信高校。緩やかな校風で知られ、25年に開校した伝統ある普通科の学校です」(地元紙記者)

 高校3年の夏以降は、両親が買った中川区のマンションから自転車通学。家族4人で慎ましい生活を送っていたようだ。

 高校の同級生が語る。