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被告人「いったん帰ろうと思いました」
弁護人「それでも帰らなかったのはなぜですか?」
被告人「被害者が立ちふさがって、これまで騙して金を借りていたことを追及してきた。彼女のバイト先から金を盗んだことも『私に関係ないと一筆書け』と言ってきた。2人で協力してやったことなのに……」
弁護人「被害者がバイト先のレジから自ら盗んできたものですか?」
被告人「そうです。それをすべて私のせいにしようとしていました」
弁護人「あなたはどう思いましたか?」
恋人を何度も包丁で刺した理由
被告人「裏切られたと思いました。被害者の抵抗を排除して立ち去ろうと思いました。催涙スプレーをかけた際に、自分の目に入ってしまい、視界を遮られたまま、彼女に向かって何度も包丁を突き刺しました」
弁護人「なぜそのようなことを?」
被告人「誰からも相手にされない中で、彼女は唯一の心のよりどころだった。その彼女に見放され、このままでは社会からも孤立し、一人ぼっちになってしまうと思ったから……」
弁護人「調書では『自分もあとを追って死のうと思った』と書かれているが……」
被告人「死刑になりたいと思い、捜査段階では必要以上に悪質性を強調していた」
弁護人「虚像はいつかバレると思わなかったか?」