「海外を旅行したい」という強い思いが、言ってみれば国の体制の崩壊にまでつながったのです。
つまり、見方によっては、「東ドイツが崩壊したのは、みんな海外旅行をしたかったから」と言うこともできるわけです。
話がさらに遡るようですが、第二次世界大戦中の軍隊には「Fronturlaub」(前線休暇)もあったことを鑑みると、ドイツ人というのは「いかなるときでも休暇を取る人たち」だということがわかります。
仕事は「休暇ありき」
時は流れ、今のドイツは戦争のない平和な国です。
そんなドイツでは、フルタイムの会社員であっても、仕事はもちろん「休暇ありき」。
ですから、新年早々に社内で回覧板(最近はオンラインの場合もあります)をまわし、「今年は誰が、どの月に休暇を取りたいか」を各自が書き込み、共有することが毎年の恒例になっている会社もあります。
新しい年が始まろうとしているときに、「まずはその年の休暇を考える」というのは、いかにもドイツ人らしい話。
さらに、ドイツはGDPで日本を追い抜いたばかりか、現在、ドイツ人の平均収入は日本の1.7倍であるというデータもあります。
このようなことから、ドイツ人は休みを戦略的に取り入れ、効率的に働くことで、しっかり結果までも出していると断言できます。
ここまで読んで、もしかしたら、こう思われたかもしれません。
「『働き方改革』で改善されたものの、100%有休を取るなんて、日本では難しい」
「頑張って働いているのに、ドイツ人のように休むことなんてできるわけがない」
「これ以上休むと、仕事量が減って、収入に響いてしまう」
しかし、よく考えてみれば、日本もドイツも先進国であり、世界のほかの国と比べて貧富の差が少なく、中間層が多い国です。
ドイツにできることは日本にだってできます。
どれだけ効率的に働くか
ドイツでは現在、週休3日の実施は企業や団体の判断に委ねられています。
一概には言えないものの、ドイツの傾向として、多くの人が「どれだけ時間をかけて働くか」ではなく「どれだけ効率的に働くか」にスポットを当てていると感じます。