悪夢のような殺人劇

 転機が訪れるのは、結婚から9ヶ月後の1972年10月、キャロライン・オーエンズという当時17歳の女性をベビーシッターとして雇ってからだ。彼女は毎日のように家に多くの男が現れるのを不思議がった。フレデリックに尋ねたところ、地下室でローズがマッサージの仕事をしているという。が、どうにも怪しい。

 訝しむ彼女の様子にウェスト夫妻は危機感を覚え、同年12月、彼女の帰宅途中、車に乗せ全てを素直に話した。その目的はキャロラインと乱交プレイを楽しみ、手懐けることにあった。嫌がる彼女を強引に犯したまでは計画どおりだった。

 が、その後キャロラインは警察に事の経緯を説明。1973年1月、夫婦は強制猥褻容疑で有罪となり、それぞれに25ポンドの罰金刑を科されてしまう。ウェスト夫妻は強く思った。あのとき、殺しておけばこんなことにならなかった──。この“些細なミス”をきっかけに、悪夢のような殺人劇の火蓋が切って落とされる。

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