「俺の漫画を嫌っている人がいたんでしょう」

『HEAT-灼熱-』の舞台は新宿・歌舞伎町。警察やヤクザが入り乱れ、激しい権力闘争を繰り広げるバイオレンスアクション漫画だ。

 これがヒットし、連載途中の2001年、第47回小学館漫画賞を受賞する。これは武論尊さんと池上氏、それぞれ初めての受賞で、記念すべき作品となった。

「ラーメン屋に置いてあるような漫画」を目指して作った作品『HEAT-灼熱-』が、栄誉ある賞に輝いた Amazonより

「『サンクチュアリ』の時、受賞できそうだという手応えがあったけど、候補にも挙がらなくてね。俺の漫画を嫌っている人がいたんでしょう。講談社でも同じような理由で受賞できなかったから、自分はもう諦めてたんですよ。

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 でも、池上さんはあの画力で受賞できないのはおかしいとずっと思ってたし、『オデッセイ』『ストレイン』で失敗してたからね。池上さんと受賞して、恩返しができてよかった、ホッとしたというのが一番大きかったね。あと、受賞するとご祝儀で原稿料が上がるの。俺はそれが嬉しかったなあ!」

『HEAT-灼熱-』の連載終了は2004年。武論尊さんと池上遼一氏はその後も3作品を連載し、計7作品を世に送り出した。1990年に1作目の『サンクチュアリ』が始まり、2020年に7作目の『BEGIN』が終幕。日本を代表する原作者と漫画家の30年に及ぶコラボだった。

次の記事に続く 『北斗の拳』後もヒット作を出すも「今はもう、オファーが来ない」…原稿持ち込みを続ける武論尊(78)のイマ

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