全世界での累計発行部数が1億冊を超える、アクション漫画の金字塔『北斗の拳』。2026年には、新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-(フィスト オブ ザ ノーススター)』の放映も決まっている。
その原作者である武論尊さんは、もともと自衛隊に勤務していた異色の経歴を持つ。現在、長野県佐久市に4億円の私財を投じて建てた「さくまんが舎」で、次世代の漫画家育成に力を入れている武論尊さんに、これまでの生い立ちを聞いた。(全5回の1回目/続きを読む)
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「貧乏だったから」、人並外れた空想力が培われた
漫画界でも屈指の型破りな存在、それが武論尊さんだ。それまで見たこともないような登場人物と予想もつかないストーリーで膨大な読者の心をつかみ、原作者として伝説的な大ヒットを飛ばしてきた。
新人の平松伸二氏とともに連載に挑んだ『ドーベルマン刑事』は500万部超、史村翔名義で池上遼一氏とコラボした『サンクチュアリ』は700万部超、そして、原哲夫氏と組んで1億部を超えるメガヒットを記録した『北斗の拳』は、2026年、『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』としてアニメ化を控える。週刊少年ジャンプで『北斗の拳』の連載が終了したのが1988年。それから40年近く経っても脚光を浴び続ける漫画は、ほかにないだろう。
原作者として、武論尊さん自身が語る強みは「人並み外れた空想力」だという。その空想力はどう培われたのだろうか? 武論尊さんに問いかけると、こう話し始めた。
「貧乏。貧乏だったから――」
