本州のほぼ全域に生息するツキノワグマ
ところで、実は日本に生息するクマには2種類ある。比較的小型のクマ(ツキノワグマ)と大型のヒグマである。
人間とクマの生息域が混在している現状と違い、クマとヒグマはきっちり棲み分けできている。クマは黒い毛に覆われ胸元に三日月状の白い縞があるため「ツキノワグマ」とも呼ばれるが、大きなもので130キロくらい。本州の千葉県以外に大量に、そして四国の徳島、高知にはごくわずかしかいない。
なお九州に生息していたツキノワグマは絶滅したといわれており、クマがいまだに国際的には「絶滅危惧種」に指定されているのはそのせいでもある。
かわってヒグマはというと、海外では「グリズリー」と呼ばれ、北海道以北の我が国の北方領土から樺太、シベリア、北米大陸にも生息する。茶色の体毛に覆われ大きければ400キロを超える。北海道のアイヌコタンなどでは今でも、みやげで鮭を咥えたヒグマの木彫りが売られている。
雑食であるがその肉は意外と美味である。実際、不肖・宮嶋もジビエ料理屋で食したが、イノシシ肉にも似ていて臭みもなく、脂もシカほどくどくなかった。
大型のヒグマに襲われれば勝ち目はない
クマ、ヒグマ双方とも人間よりはるかに嗅覚、聴覚に優れ、そして動きも素早く、全速力では時速50キロ程度で走ると言われている。
比較的戦闘力の低い子グマなら人間が猟銃を使用せずとも撃退した例もあるが、大型のヒグマに襲われれば人間に勝ち目はない。
たとえれば、安青錦の倍以上あるダンプカー並みの巨体に、サニブラウン選手の倍近い速度で突進され、かぎ状の鋭い爪の生えた前足で井上尚弥より素早いハンマーパンチを食らわされ、顔や目の玉を皮ごとはぎとられた直後、首元に噛みつかれポッキリ……というようなものである。
