「裸も見たい?」と幼馴染に迫り…

 初回の放送は1985年1月8日。第1話「こんにちはポコチン」は冒頭から衝撃的だった。中山が演じる中学1年生ののどかが不敵な笑みを浮かべながら、「ねえ、私の胸にさわりたい?」と幼なじみの徹(木村一八)に胸を触らせる。さらに「裸も見たい?」と目の前で服を脱ぎはじめ、ブラジャーも脱ぎ捨て、ショーツだけの姿でベッドに潜りこむのだ。ショーツを下ろしすぎてしまい、引き上げる姿が生々しかった。

 実は第1話では、のどかの出演シーンはそれほど多くない。しかし、視聴者の心を掴むのには十分だった。翌日から事務所の電話は鳴りっぱなしになり、中山は電車にも乗れなくなるほどのフィーバーを巻き起こした。マネージャーの山中氏は「一夜にして世界が変わった」と振り返っている。

若かりし頃の中山美穂 ©︎文藝春秋

収録時に相次いだトラブル、現場で涙を流したことも

 回を追うごとにのどかの出番は増えていった。一人称は「オレ」になり、朝は挨拶代わりに徹たちに金的蹴りを見舞って、シャワーを覗いて「ちっちぇえ!」と笑う。ノーパン喫茶に行った父(板東英二)を強請った挙げ句に即バラす。教室でストリップごっこをする。第8話では徹とラブホテルに入り、大胆な下着姿とシャワーシーンを披露した。視聴者は弱い父親と自分を信用しない母親(夏木マリ)に反発するのどかの一挙手一投足に熱狂し、ドラマは社会現象になった。最終回「走れポコチン」は視聴率26.2%を記録している。

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 しかし、収録時にはトラブルも起こっていた。第1話で裸になってベッドに入るシーンでは中山が躊躇って撮影が止まってしまった。下着になる場面で抵抗を示し、スタッフに怒鳴られて泣き出したこともあった。

 シャワーシーンではスタッフに「見えるのは背中だけ」と言われていたが、実際にはバストトップ付近まで映っていた。オンエアを見た山中氏はショックで絶句したが、中山は表だって不満を言うことはなかったという。当時、取材に対して「私、芸能界ってそれくらいしないとダメだって思ってたんです。でも、いま思うとだまされたみたい」とコメントしている(『現代人物情報源:(Know who)で迫る5000人 1987~88』講談社)。