歌手、俳優として活躍した中山美穂が亡くなって早くも1年が経つ。トップアイドルとして時代を駆け抜けた中山美穂だが、俳優としても瞠目すべき実績を残している。ここでは中山美穂がデビューから結婚で芸能活動を休止するまでの期間に出演したドラマ、映画をあらためて極力すべて目を通した上で、彼女がどんな作品でどんな役を演じてきたか、それがどんな意味合いを持っていたかを考えてみたい。(全5回の2回目/続きを読む)

若かりし頃の中山美穂 ©︎文藝春秋

※以降、作品の展開や結末に触れている場合があります。

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中山美穂、荻野目洋子、小泉今日子…アイドルドラマの時代

 1986年4月、中山美穂は資生堂の春のキャンペーンガールに起用される。CMソングは竹内まりや作詞・作曲の「色・ホワイトブレンド」。デビュー時にあった“不良少女”のイメージは完全に一掃されたと言っていいだろう。

中山美穂「色・ホワイトブレンド」(1986年)

 その直前の3月には『月曜ドラマランド』のオムニバスドラマ『藤子不二雄の夢カメラ』(フジテレビ系)の第1話「不思議少女・サヨコ」に出演している。アイドルが多数登場した同番組だが、中山が出演したのはこの1本のみ。第2話は荻野目洋子、第3話は小泉今日子が主演しており、3人はクラスメイトという設定だった。ずいぶん豪華なクラスだ。

 中山は不思議なカメラを通じてクラスメイトの男子と意思を通じ合わせる女子高校生の役。興味本位でラブホテルに入るシーンもあったが、無論、過激な露出はない。実力派の金子成人、松原敏春、市川森一各氏が脚本を担当しただけあって、いずれもしっとりした青春ドラマに仕上がっていた。

 続けて5月には『木曜ドラマストリート』の2時間ドラマ『あいつと私』(フジテレビ系)に主演する。石坂洋次郎原作の青春もので、過去に石原裕次郎と芦川いづみ、三浦友和と檀ふみによって映画化されているほか、ドラマ化も複数回されている定番の作品である。