1988年7月スタートの『若奥さまは腕まくり!』(TBS系)は、『ママはアイドル!』と同じ座組で制作されたホームドラマ。中山と三田村邦彦が再び夫婦を演じているほか、元彼役で永瀬正敏がゲスト出演している。
オフに海外で車を走らせることが息抜きに
中山が演じるのは夫の家族をまとめて面倒見る“若奥さま”だが、ベテランの伊東四朗や中尾ミエらを相手に、とてもデビュー4年目の18歳とは思えない堂々とした芝居を見せている。役の設定は成人女性で、飲酒シーンや車を運転する場面も多かった。ちなみに中山は16歳のときにアメリカで「隣に免許を持っている人がいれば運転できる」という自動車免許を取得するほど運転が大好きだった(GQ 2023年4月1日)。忙しい時期はオフに海外で車を走らせることが息抜きになっていたという。
1988年12月にテレビ朝日系で放送された『火曜スーパーワイド』枠の『ミスマッチ』では、公私ともに仲の良かった工藤静香と初めて共演している。中山と工藤は同じ1970年生まれでデビューも同じ年。南野陽子、浅香唯とともに「アイドル四天王」と称されることもあった。
中山の役はしっかり者で潔癖なディスプレイプランナー、工藤の役は性格が正反対のファッションモデル。中山の役の設定は実年齢より5つほど年上だろう。ひょんなことから同居した二人の恋愛と友情を描くお話であり、大まかな設定は同年に浅野温子と浅野ゆう子が主演する『抱きしめたい!』(フジテレビ系)に通じるものがある。中山と工藤が二人でピンク・レディーの「UFO」を歌い踊る場面が微笑ましい。
“とにかく底抜けに明るい”アイドルドラマの数々
中山が主演したアイドルドラマを概観すると、とにかく底抜けに明るいのが特徴だ。1970年代の山口百恵主演ドラマや、その後の大映ドラマにあった「不幸」や「暗さ」が1ミリもない。まさしく明るかった時代の反映である。
等身大の女性を演じていたはずが、いつのまにか虚構としての中山美穂を演じていた中山は、時代の要請に応えて明るいドラマの中で数々の役柄を演じ続けた。そしてトレンディドラマの時代がやってくる。(つづく)
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