俳優、モデル、さらにアニメやゲームが好きな“オタクタレント”のパイオニアとして活躍した加藤夏希さん。現在は4児の母として忙しい日々を送りながら、俳優としての活動を再開している。そんな加藤さんに「JJ」の専属モデルになった意外なきっかけから、多忙の中でもストレスが爆発しなかった理由、さらに「花男」出演中に母からかけられた驚きの言葉まで聞いた。(全4回の3回目/続きを読む)

加藤夏希さん ©山元茂樹/文藝春秋

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ファッションセンスを磨きたくてモデル業に

――加藤さんのキャリアをお聞きしていますが、小学生でデビューしてから現在まで途切れずお仕事があってすごいですね。

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加藤夏希さん(以下、加藤) ありがたいことに。「休みは危険。危機を感じなさい」と事務所にはずっと言われていました。事務所はもともとは音楽系だったので、年末年始は特に忙しくないとダメっていう意識だったんです。でも役者業は年末年始って意外と仕事がないんですよ。だから10代だった私はもう不安しかなくて「私、仕事が何もない。大丈夫? 年越せる?」って(笑)。

――あれだけ仕事があって不安になっていたんですね(笑)。俳優だけでなく、2004年からはファッション雑誌「JJ」の専属モデルとなります。ただファッションセンスは当初、全くなかったそうですね。

加藤 それこそ高校を卒業するまでは制服で仕事現場に行っていたんですよ。それが高校を卒業して私服で現場に行くとなった時に困って。洋服の知識が小学校で止まっていたんです。秋田で小学校の時に買った洋服をずっと着ていたので。

©山元茂樹/文藝春秋

――そうか。加藤さんは小学校の頃に身長が164センチあったので、高校生の頃でも小学校の時の服が着られたんですね。

加藤 そうなんですよ。事務所の人に、私の服装を見て「えっ、どういう格好できてるの?」と言われたら、「今日のテーマは漫画の『あさりちゃん』なので、かぼちゃパンツをはいてきてみました」と返して、「それはやめなさい」と止められたりしてました(笑)。

 ファッション誌を読んだことがなかったので洋服の知識がなかったんですよ。なので、いかにアニメのキャラ、漫画のキャラになれるかと洋服を選んでいたんです。それこそ当時見ていた「こどものおもちゃ」の紗南ちゃんのような服を選んだり、高校生時代も土日なのに制服を着て友達と遊んでいました。着る洋服がわかんないから。

 さすがにこれはまずいと思って。でもファッションを一から勉強するのは仕事もあるし、難しい。「じゃあ、それも仕事にしちゃおう」と思って、事務所にいろいろなファッション誌の編集部に顔見せに連れて行ってもらいました。