金色とアイボリーを基調とした豪華なヘリ機内。自衛隊の黒いジャンパーを着こんだ小泉進次郎防衛大臣(44)が革張りシートから半身を起こし、隣に座るサングラス姿の客人と、がっちり握手を交わす。
〈インドネシア国防大臣を私の地元、横須賀にお招きし、護衛艦「くまの」及び「むらさめ」と、「たいげい」型潜水艦を視察いただきました〉
〈移動中のヘリの中でも有意義な意見交換が出来、個人的な信頼関係を更に強固にすることが出来ました〉
フォロワー数26万人を誇る小泉氏のXに、こうした写真付き投稿がなされたのは11月17日午後だ。
だが、その裏側で、周囲が頭を抱える事態が次々と発生していた。
◇
「農林水産大臣と何が違うかって…」
小泉進次郎、覚醒――。
近頃、こんな言葉が巷で囁かれている。
総裁選で敗れた小泉氏だが、高市早苗首相から新政権で重量級閣僚である防衛大臣に起用された。
「ライバルを政権内に取り込んで挙党体制を演出する一方、来年の改定に向けて議論が本格化する“安保3文書”に関する難しい国会対応、世論対策を小泉氏に押し付けたい魂胆も透けて見えます」(政治部記者)
こうした局面を前に、小泉氏はかつて報じられた“ステマ”ではなく今度こそ本当に「顔つきが変わった」ように見える。
小泉氏の就任直後の言動に予兆があった。自身のポッドキャストでは、前任の農水相の役職を引き合いに、
「農林水産大臣と何が違うかっていうとこで言うと、扱っている情報の秘密の重さ。これは言えないことだらけなのね。もうポッドキャストで絶対無理」
また、YouTube番組でもこう熱弁を振るう。
国民・榛葉幹事長が絶賛
「防衛大臣は、毎日機密、秘密の重み。これは次元が違います」
防衛機密を多数扱うことで、職責の重さを自覚した様子の小泉氏。さらに、
「小泉氏は防衛省から様々なレクチャーを受ける中で、米CIAのバーンズ前長官も言及している『2027年までに起こりうる台湾有事』のひっ迫性を再認識し、大臣としての自覚が出てきたとも言われています。中国の習近平国家主席が3期目の任期満了を迎え、人民解放軍創設100年でもある27年がそのタイミングだとすれば、あまりに近い。自らが『有事』のリーダーになる可能性があるのです」(防衛ジャーナリスト)
そんな中でとりわけ評価を上げたのが、就任2週間あまりで訪れた“危機”への対応だった。高市首相をフォローする小泉氏の国会答弁だ。
「高市首相は、台湾有事で中国の軍艦による武力行使があった場合、集団的自衛権を行使可能な“存立危機状態”になりうると答弁した。この発言が野党から集中砲火を浴びましたが、小泉氏は毅然と対応。“すべての情報を駆使しながら総合的に判断をする”等と防衛省の想定問答をうまく用いて、見事に追及をかわしたのです」(同前)
こうした答弁に、野党である国民民主党の榛葉賀津也幹事長も11月14日の記者会見で絶賛。「ちょっと覚醒した感があるね」と評価したことがワイドショー等でも紹介された。
ところが――。
さる防衛省幹部が明かす。
「小泉大臣の“覚醒”は幻ですよ。実際は自分のアピールのために、自衛隊の幹部たちを振り回して、次々と“事件”を起こしているのです」
一体、何が起きているのだろうか。「週刊文春」は政府関係者や防衛省関係者らから、小泉氏の実像を聞き取った。ここに防衛大臣としての資質を検証してみよう。
《この続きでは、「自己アピールのための要人ヘリ要請」「不可解なインド大臣との会談ドタキャン」「ホテルに忘れたカンペ」などのトピックを詳しく報じている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および12月4日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》


