「実は、ルーはティー道の師範を…」

 なぜルーが抹茶の危機を憂いているのか、読者のみなさん疑問に思っていませんか。実は、ルーはティー道の師範をしているんです。ある時、マネージャーから「うるさいだけのタレントはすぐ飽きられる。新たなスキルを増やしましょう」と勧められ、五十の手習いで出会ったのがティー道でした。大名茶人・小堀遠州(えんしゆう)を流祖とする武家茶道の遠州流に入門。当初は堅い雰囲気になじめず、正座も辛くて、すぐにやめるつもりでした。でも月謝がもったいないし、もう少し頑張ろうと通っているうちに、そのワールドがあっていることに気が付いた。「ストーンの上にも3イヤーズ」とはよく言ったもので、ついには師範として「大柴宗徹」という茶名まで家元からいただきました。

ルー大柴さん ©文藝春秋

 みなさん驚かれるのは、お点前の間、この私がまるで喋らないこと。たまに「ルー語」が出てしまうこともありますが、基本的には喋りません。お客様に美味しくティーを召し上がっていただくまでの一連の作法をお見せするのも、おもてなしですから。

 ティーは心を投影する鏡。心を込めて()てて、お客様に喜んでいただく瞬間が一番ハッピーになる。多くの言葉を交わさずとも心を通わせられるティー道は、人種や国境を超えた優れたコミュニケーションツールになると確信していまして、今では私の大切なライフの一つとなっています。

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 だからこそ、常々、世界の人にこの魅力を知っていただきたいと考えてきました。海外の人に抹茶の素晴らしさが広がっているのは嬉しい反面、複雑な心境でもあるのです。