2025年4月から10月まで開催された大阪・関西万博。多くのパビリオンが話題を集める中、大阪ヘルスケアパビリオンにサイエンス社が展示した「ミライ人間洗濯機」は連日長蛇の列を生み、同社によると体験者は1270人に達したという。一方、予約しようにも争奪戦がなかなか熾烈で、泣く泣くあきらめた人も多いはず。

 さながら“幻の装置”だったが、閉幕後にはヤマダデンキが「LABI池袋本店」にて同機を6000万円で販売すると発表するなど、再び注目を呼んでいる。今回、サイエンス社への取材とともに実機を体験する機会を得たため、使用感をリポートしていく。

ミライ人間洗濯機、実際に体験してみた

総額1億円でプロジェクトが始動

 ミライ人間洗濯機を開発したサイエンス社は、微細な泡で洗浄するシャワーヘッド「ミラブル」で知られる。1970年の万博で、当時小学生だった青山恭明会長が三洋電機(現パナソニック)による“人間洗濯機”こと「ウルトラソニックバス」を見て衝撃を受けたことが、開発のきっかけだったという。

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 プロジェクトが具体的に動き出したのは、大阪・関西万博の開催が決定した2018年。青山会長が「未来の人間洗濯機を大阪に再び」という構想を掲げ、総額1億円超を投じる大掛かりな計画が始動した。

 専務取締役の平江真輝氏は「1970年万博の時は社会実装されなかったが、ファインバブルの技術を使えば、普及可能な人間洗濯機を作ることができるのではないかと考えた」と振り返る。

 ファインバブルとは、直径100マイクロメートル(=0.1ミリ)未満の非常に小さな泡の総称だ。サイエンス社は同技術を用いた入浴関連製品を展開しており、そのノウハウがミライ人間洗濯機に活かされている。