「家族から愛情というものをインストールされなかった」

 小学生の頃に両親が離婚し、2人暮らしになった父親から殴られる、全裸で家の外に出される……。そんな過酷な幼少期を告白したのは、人気セクシー男優の向理来さん(35)。

「今でも家族というものがよくわかってない感じがする」という向さんの人格に大きく影響した子ども時代について話を聞いた。(全4回のうち1回目)

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向理来さん ©文藝春秋 撮影・佐藤亘

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――向さんが育った家庭について教えてください。

向理来(以下、向) 父親は薬の研究者で、母親は看護師でした。僕が生まれたのは母親の故郷の高知県だったんですが、生後すぐに父親の転勤でカナダへ移ったようです。なので一番古い記憶はカナダですね。カナダの大学で助教授をしていたそうです。

――カナダには何歳頃までいたんですか?

 5歳くらいには日本へ帰国していたと思います。父親がカナダの大学から外資系の製薬会社に転職した都合で帰国して、茨城県のつくば市に住み始めました。カナダ時代はあまり気にしていませんでしたが、帰国してからはわりと裕福な方だったと思いますね。

――いわゆるエリート家庭?

 そうかもしれませんね。教育意識も高くて、習い事やスポーツを「やりたい」と言えば全部やらせてもらえたし、本も際限なく買ってくれました。

小さいころの向さん

「父親に全裸にされてマンションから追い出されることもありました」

――家庭に違和感を持つようになったのはいつ頃ですか。

 小学校3、4年の頃から少しずつ両親の喧嘩が増えていきました。今でも忘れられない光景があって、キッチンのシンクが割れたお皿でいっぱいになっていたんです。母親が父親と喧嘩したストレスで割ったんだと思いますけど、子供ながらにあの状況は衝撃でした。

――その後両親はどうなったんですか。

 僕が10歳の時に離婚しました。ただ当時は離婚したとは教えてくれず、別々に暮らすからどっちについて行くか、と聞かれました。母と2歳上の姉が茨城に残り、父が東京に引っ越すと聞いて、あまり何も考えずに「東京に行きたい!」と父親を選びました。母親と離れる寂しさというよりは、新しい環境にウキウキしていた気がします。

――お父さんとの2人暮しはどうでしたか?

 急にしつけが厳しくなって驚きましたね。鉛筆や箸の持ち方が悪い、笑い方が気に食わないと言って殴られたり、宿題をしていなかった時には全裸にされてマンションから追い出されることもありました。