――もちろん顔を出して活動されていますし、ご家族との関係は変わりましたか?
向 まだ「家族ごっこ」っぽさは抜けないですね。1人暮らしの母親とはたまに会いますし、母の日には欲しがっていたマッサージチェアも贈りました。でもその原動力はやっぱり「こうするといい息子っぽいかな」「普通の人ならこうするのかな」という真似だと思います。
姉も時々会いますが、10歳までしか一緒にいなかったので、感覚的には姉というよりも幼なじみなどに近いと思います。それでもお互い大人ですから、「姉っぽく」振舞われたら、「弟っぽく」返す練習をしているところです。
――現在の仕事への反応などは?
向 出演したDVDを持っていったりはしましたけど、仕事の話はさすがにあまり出ませんね。
――お父さんに対する今のお気持ちは。
向 父親の命日には、散骨した海岸へ行って手を合わせるようにしています。一部残していた遺骨は数年間僕が保管していたのですが、先日やっと納骨ができました。最期を看取れなかったことは仕方ないと思っていますが、もっと話をしてみたかったなとか、一緒にお酒を飲んでみたかったなという気持ちは少し出てきましたね。
「道徳や倫理観、愛情といった感情はいまでもわかっていないんだと思います」
――向さん自身に家族を持ちたいという願望は?
向 ないですね。親になることもないと思います。責任を取れる気がしないので。
――それはやはり、「愛情」への不安があるから?
向 そうですね。社会経験を積む中で、「悪いことをしない」という道徳観は後天的に身につきました。こういった職業だと、法令遵守に関しては人一倍気を使いますし(笑)。ただ、普通の人が考える道徳や倫理観、人に愛情を与えるといった感情はいまでもわかっていないんだと思います。「みんな人間のふりが本当にうまいなぁ」と思いながら、まだ自分は下手くそで。
でも今は、僕みたいな存在が社会の中にいてもいいんじゃないかとは思えるようになりました。男優という仕事は、それすらも個性として受け入れてくれる人がいる世界なので。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

