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18日間も粘ったおかげで柳瀬氏の「ご記憶」も戻ってきた

――あの頃は「野党は18連休している」と、与党から批判を浴びました。

泉 そもそも、「ゴールデンウィーク前に文書を出す」という話があったんですよね。それが延びた。

辻元 4月になって、柳瀬唯夫元首相秘書官が加計学園の新学部設置にからんで愛媛県職員と面会した記録が愛媛県から出てきた。自民党はゴールデンウィーク前に3時間ぐらい予算委員会をやって、そこに政府参考人みたいな形で柳瀬氏をちょこちょこっと出して答弁させることを望んでいた。官邸はゴールデンウィーク前に幕を引けば国民は忘れるだろうと考えたのかもしれないけど、私たちは批判覚悟で「絶対にゴールデンウィーク後」と話を持って行った。ゴールデンウィーク中も与野党間で交渉して、最終的には「証人喚問」は難しくて、柳瀬氏ひとりでの「参考人招致」という形でオーケーしてきた。

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 与党には「18連休」と揶揄されたけど、18日間も粘ったおかげで柳瀬氏の「ご記憶」も戻ってきたんです。ところが、参考人には柳瀬氏だけではなく、八田達夫氏(国家戦略特区ワーキンググループ座長)と加戸守行氏(前愛媛県知事)を混ぜたいと言ってきた。柳瀬氏の時間を削るための策略でしょう。これにも、官邸からの力が働いたに違いありません。

 

玉城 議院内閣制ですから、政府と与党が一体なのは当たり前。ただ、国会の運営上、国対では与野党間で折り合いをつけないとスムーズに進んでいきません。ところが、安倍政権はそこにも介入してくる。何でも手を突っ込むのが今の官邸の手法です。そういう姿勢に与党が納得しているのかというと、そうも見えないんです。

辻元 自民党国対に行くと、「あ、これは今、官邸から何らかのプレッシャーがかかってるぞ」という瞬間が空気の違いでなんとなくわかります。もう森山さんとは朝から晩まで、表でも裏でもいろんな折衝をしているから、顔色を見れば、「ああ、これはウソついてるな」とか、「今、ごまかしている」とかわかる。

玉城 ですよねえ。

官邸よりも自民党が主導権を握った時期があった

辻元 それから、自民党内には安倍官邸の息のかかった人が「お目付け役」の如く随所に配置されているように見えました。例えば、森山さんの下に総理の弟である岸信夫さんが国対副委員長としている。それから、議院運営委員長は、総理のお友だちである古屋圭司さん。幹事長室には、総理側近の萩生田光一さんが幹事長代行としているでしょう。やっぱり辻元清美が自民党の部屋に来て、森山さんと何を決めようとしているという情報は、彼らから官邸に逐一報告が行っていると思います。だから、私は森山さんと細かな折衝をする時は「全員出ていって」と人払いしてやることを心掛けていました。

玉城 二階さんの背後にいつもいたはずの萩生田さんの影が、急に薄くなった時期がありましたよね。

泉 代わりに、二階さんの側近である林幹雄さん(幹事長代理)が二階さんの後ろにいた。

 

辻元 ですから、やっぱり厚生労働省のデータ問題があって、森友文書、加計文書と次々に出てきて、官邸よりも自民党のほうが主導権を握った時期があったんです。2月末からゴールデンウィーク前までは、「自分たちに頼らないと、予算は通らないし、野党を納得させられないよ」と、自民党が官邸よりも優位に立っているように見えました。

玉城 ところが、ゴールデンウィークが明けて、柳瀬氏の参考人招致を切り抜けてからは、官邸は「もうこれで逃げ切れる」というパターンに入り込んだんじゃないかなと思いました。与党は野党を国会審議に復帰させることに成功した時点で、今度は「野党の18連休」とレッテルを貼って、叩きに来たわけですよね。

 うちの小沢一郎代表は「今は平時ではなく戦時だ」と言っています。国民の側に立たたず、国富を損なっていく安倍政権のやり方はたださねばならない。野党は結集して、戦時である今、気を抜かずに常に追及をしていかなければいけないという話を常々しています。ですから、普段はおとなしいはずの玉城デニーは、野党の国対委員長の中でも主戦論者を通しています。