口数も少なく、親に甘えることもない「ぼっち」な息子。
父は勝手にそう思い込んでいた。
一方で…
父・中山和彦さん:
これは高校のインターハイの時の記念Tシャツか何かですね。あとラケット。当時使っていたラケットとか。と、高校の時のゼッケンと…。
黙々と、テニスの練習を続けるスポーツマンであったのと同時に…
ディレクター:
あとあれですね、8段…。
父・中山和彦さん:
そうですね。
毛筆と硬筆の両方で八段を取るほどの“文武両道”。
「なんでも器用にこなすヤツだ」…とは感じていた。
そんな息子が、異変を訴えたのは大学1年の夏…。
奏琉:
なんか最近、背中にコブみたいなのができて痛いんだよね。
父:
ああ、ホントだ。1回、病院に行った方がいいな。
奏琉:
うん、そうだね…。
父・中山和彦さん:
ちょうど夏休みぐらいに帰ってきてて。で、その時にはもう、触ったらわかるぐらいで。実際取ったのがもうこんなサイズ(こぶし大)なので…。
検査を受けると、病院からは「家族そろって来てほしい」と告げられた…。
そこで聞かされたのは…
医師:
大変申し上げにくいんですが…。
父・中山和彦さん:
その時に「がんです」っていうことを言われて。
しかも患者数は、日本全国でも年に20人ほどしかいない希少がんだという。
父・中山和彦さん:
まず「なんでうちの息子が?」ですよね。
だが、当の本人は…
父・中山和彦さん:
全然変わらない感じ。淡々と聞いてる感じでしたね。もうね、僕らがちょっと涙ぐむような状況でも、本人は別にそういう感じでもなく…。
あまりのショックに、口もきけないのか?
当時は、そう思っていた。
なぜなら、聞かされた手術もあまりに大がかりだったからだ。
背中にできた腫瘍だけでなく、骨の一部も取り去り、皮膚が足りなくなったら、太ももから皮膚移植する可能性もあるという…。
それなのに、手術が成功し無事に大学に戻った奏琉さんは、
奏琉さんの友人・松岡信さん:
結局何単位取れる見込み?
奏琉:
ゼロ。来年からニート。まじ何しよ。暇なんだよね。
奏琉さんの友人・松岡信さん:
札幌にいさせてもらえるの?まず。
奏琉:
病院あるし。
奏琉さんの友人・松岡信さん:
そういう意味で都合良く病院使ってるのか、おまえ。