高市政権発足から約3か月。台湾をめぐる国会答弁をきっかけに日中関係が急速に冷え込む中、日本経済への深刻な影響が懸念されている。第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は、文藝春秋PLUSの番組で「アメリカのトランプ関税と中国との関係悪化の両方のダメージが効いてくる」と警告を発した。(全2回の1回目/続きを読む

【サナエノミクス「1ドル160円台」も】高市政権で長期金利上昇+円安が進む|日中関係悪化で“インバウンド打撃” 押し下げ効果は|危機管理投資は不透明|物価高騰への最大の切り札は賃上げ【熊野英生】

(初出:「文藝春秋PLUS」2025年11月29日配信)

トランプ関税と「存立危機事態」発言の影響

 熊野氏は現在の日本経済について「国難と言われたトランプ関税で、危険ゾーンになるくらいまで生産や輸出関連企業の業績も自動車を中心に悪化している」と分析する。そこにアメリカと中国という「両方が日本の輸出相手国1位を競い合ってる」状況で、中国向け輸出が落ち込めば「非常に景気が悪くなる」という。

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熊野英生氏

 高市首相は11月7日の国会答弁で台湾をめぐって「存立危機事態になり得る」と発言。これを受けて日中関係が冷え込んだ。熊野氏は「どういう風な落としどころか想像もつかない」としながらも、最も身近な影響として中国人インバウンドの減少を挙げる。

中国・香港のインバウンド市場は2.6兆円

 中国と香港を合わせたインバウンド市場は年間約2.6兆円の規模を持つ。熊野氏は「これがゼロにはならないと思うが、日中関係が冷え込むと、観光産業、東京だけじゃなくて西日本中心にインバウンドが減る」と指摘。個人消費関連、サービス、運輸など「幅広い産業への効果が2.6兆円ほどの規模で下押し圧力として出てくる」との見通しを示した。