細田守監督による最新作『果てしなきスカーレット』が方々で“大コケ”と評される一方、主演を務めた芦田愛菜はどこ吹く風だ。SNSを中心に同作のエンディングテーマ『果てしなき』を歌唱する美しい歌声が称賛され、芦田だけが評価を得るおかしな現象まで起きている。メディアの記事も作品をこきおろしながら芦田愛菜は持ち上げるタイトルが目立つ。

 芦田愛菜はニホンモニターが発表した「2025タレントCM起用社数ランキング」で上半期に1位となり、年間でも20社と契約し、1位の川口春奈に1社差で負けたものの2位。一般大衆だけでなく、企業からも好感度が高いようだ。

好感度がとにかく高い、芦田愛菜 ©産経新聞社

 女優としては、来年春に放送するドラマ『片想い』(NHK総合)で主演を務める予定。大人気ライトノベル『薬屋のひとりごと』(日向夏著、ヒーロー文庫)の実写映画化で主演を務めると『週刊文春』でも報じており、2026年はさらなる大躍進の年となりそうだ。

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 好感度が高くスキャンダルは今のところ皆無と、SNS時代にあって「叩かれない」特異の立ち位置にいる芦田愛菜は、今や国民的人気の女優と言っても過言ではないだろう。

 なぜ、ここまで「芦田愛菜」は全国民に愛されているのか?

『マルモのおきて』より前に芦田愛菜の名を轟かせたドラマとは?

 芦田愛菜といえば、子役時代に話題作へ次々と出演し、早々に大ブレイクを果たした女優として知られる。まず、高い評価を得たのが、2010年放送のドラマ『Mother』(日本テレビ系)で演じた道木怜南役だ。

虐待を受けて栄養失調の小学1年生という役を演じた『Mother』。当時5歳でオーディションを突破した(日本テレビ公式サイトより)

 怜南は、母親から日常的に虐待を受けている小学1年生という難しい設定ながら、芦田は完璧ともいえる演技を披露。テレビ関係者の間で天才子役として名前が広まり、2011年には『マルモのおきて』(フジテレビ系)で大ブレイクを果たす。この作品でもう一人の天才子役・鈴木福と共演するのだが、芦田愛菜の演技は鈴木福と比べてもずば抜けて素晴らしかった。

『マルモのおきて』で演じた笹倉薫は、鈴木福が演じた泣き虫の弟を守るため常に明るく振る舞う大人びた子どもだ。男手一つで育ててくれた父親を亡くした悲しみを背負い、気丈に振る舞うキャラを芦田愛菜は、時おり見せる悲しさや戸惑いの表情を駆使して演じきっている。