漫画家を目指す若者ふたりの軌跡を描いた「漫画家マンガ」がいま話題になっている。『ジンバルロック』や『ワイルド・ナイツ』で知られる古泉智浩氏の最新作『ゲットバック』だ。

 刊行直後から、深谷かほる氏、相原コージ氏、宮川サトシ氏、河井克夫氏、吉田ひろゆき氏、新保信長氏など漫画界の錚々たる面々がSNSで絶賛。さらに『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰氏が本の帯に推薦文を執筆、『これ描いて死ね』のとよ田みのる氏はカットと推薦文を寄稿している。

 

『ルックバック』へのアンサー漫画

 内容を簡単にご紹介しよう──。

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〈「漫画家になって全員を見返すんだ!」

 底辺高校に通うさえない男子ふたりがコンビを組み、プロを目指す物語。ボンクラの長谷川が原作を考え、不登校の竹夫が作画を担当。クラスのヤンキーをモデルにしたゾンビマンガを投稿したところ、新人賞に入選してしまう。「プロになれるかも」と喜んだのも束の間、モデルにしたことがヤンキーにばれ、ひと騒動に──。〉

 

 あらすじを読めば誰しも、あの超人気マンガを思い浮かべることだろう。劇場アニメ化されて大ヒット、来年には是枝裕和監督による実写映画も予定されている藤本タツキ氏の『ルックバック』だ。

〈学年新聞に4コママンガを連載している小学生の女の子が、絵の才能が抜群にある引きこもりの女の子と出会い、協力してマンガを描き始める。二人の友情とマンガへの情熱が丁寧に描かれるが、やがてふたりの目指す未来が違っていく──。〉

 

 実際、著者である古泉氏は、『ルックバック』に触発され、本作を構想したと「あとがき」に書いている。

〈……藤本タツキさんの『ルックバック』は創作に対する切実な思いが丁寧に描かれていて本当に素晴らしくて、特に主人公が四コマ漫画を引きこもりの女の子に大絶賛された帰り道、嬉しくてスキップしてしまう場面が何度読んでも泣いてしまう。映画『ルックバック』も本当に素晴らしくて、同じ場面で涙が出た。映画の『ルックバック』を見終えて、そんな事を考えていたら急に『出張編集部』をクライマックスに持ってくれば『ルックバック』みたいな漫画家漫画になると思いついた。……〉