2025年の紅白歌合戦のゲスト審査員に選ばれた文芸評論家の三宅香帆さん。三宅さんが執筆中の「週刊文春」連載が「令和新語採集」だ。元号が令和となってから流行し、定着している新語たち。令和の新語に込められた真のニュアンスや流行した背景などを三宅さんが解説している好評連載だ。第1回を特別に無料で公開する。《第2回も公開中》
(みやけ・かほ/1994年生まれ、高知県出身。文芸評論家。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で新書大賞2025受賞。他の著書に『「好き」を言語化する技術』等。)
齋藤孝さんの『子どもたちはなぜキレるのか』(ちくま新書)刊行が1999年、平成11年だった。最近の子どもたちは荒れるむかつくを越えてすぐ「キレる」ようになった、と主張する本である。あれから時代は移り変わり、いまや令和7年、2025年。キレるはもはや流行語ではなく一般的に使われる語彙となった。街中を歩いていても、若者がキレてるところをあまり見ない気がする。たまに地元に帰っても、あんなにうるさかった夜中のバイクの音が聞こえない。彼らはどこに行ったのだろう。イオンで子育てしてるんだろうか。だとすればどう考えても私より品行方正に生きてそうだ。
そんな令和で、若者に流行している語彙がある。それは「ピキる」。苛立ったり怒ったりしている、の意味である。
もとはネットでよく使用されていた(#^ω^)ピキピキ という顔文字に端を発した語彙。つまり血管が浮き出るほど、「ピキピキッ」と顔に青筋を立てるような怒りや苛立ちが湧いてくる。そんな感覚を若い世代は「ピキる」と呼ぶ。
「週刊文春 電子版」では、三宅さんが執筆した過去回を読むことができます。
【盛れる】|三宅香帆の令和新語採集
容姿をめぐる言葉ほど、時代を反映するものもない。ハンサム、二枚目、貴公子、イケメン。美人、マドンナ、小悪魔、美少女。時代によって美しい姿は少しずつ変わる。キャラクター性を含めた、さまざまな美しい容姿…

【月見】|三宅香帆の令和新語採集
月見バーガーの季節ですね? という言葉の凄さに気づいたことがある。 月見バーガーとは、ハンバーガー屋が最近こぞって力を入れている季節限定商品のことだ。たとえばマクドナルド、ケンタッキー、モスバーガー…

【フッ軽】|三宅香帆の令和新語採集
なんの略かといえば「フットワークが軽い」のことである。 なんだよフットワークならわかるよフットワークって言えよ、と文春読者の皆様は思われたかもしれない。フットワークが軽い、なら令和以前から使用されて…

【怒られが発生】|三宅香帆の令和新語採集
「怒られが発生」。なんと無責任な言葉かと笑ってしまう人もいるかもしれない。怒られた、ではなく「怒られが発生した」という言い方が、ここ10年でインターネットを中心に広まっている。 たとえばYouTub…

【課金】|三宅香帆の令和新語採集
今年の文化庁国語世論調査によれば、「課金する」を「インターネットの有料サービスを利用する」という意味で使っている人は46.2%に及ぶらしい。 もともと課金とは、「料金を負わせること」(広辞苑)。よう…

【ゾス】|三宅香帆の令和新語採集
ワークライフバランスという言葉が俄かに脚光を浴びる現在。実はSNSでは少し前から、ワークライフバランスを捨て、ビジネスで根性や体力を重視する働き方が「ゾス」と呼ばれ注目を集めている。 ゾスは「オス!…

【生活】|三宅香帆の令和新語採集
インスタグラムで「#写ルンですのある生活」と見かけた。いまの「写ルンです」は定価2860円なんですよ! フィルムカメラってこないだまで500円くらいだったのに。 現在、空前のフィルムカメラブーム。コ…

【履修】|三宅香帆の令和新語採集
TBSドラマの『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が面白い。宮藤官九郎さんのコラムの横でドラマの話をするのも恐縮だが、そんな気持ちを撥ね飛ばすくらい、言いたさがある。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』面白…

【考察】|三宅香帆の令和新語採集
11月14日に『考察する若者たち』という新刊が出ました! よければぜひお手に取ってもらえると、とても嬉しい。書店に行くと新書コーナーにきっと……並んでいるはず&helli…

