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イーストウッド、ディカプリオにも大きな影響
この一作で、キャグニーはワーナー・ブラザーズを代表するスターとなり、ギャング映画の代名詞になった。エドワード・G・ロビンソン、ジョージ・ラフト、ハンフリー・ボガートといった俳優たちが凄みや男伊達を競うなか、身長一六九センチのキャグニーは、抜群の瞬発力で時代のイコンとなったのだ。
いや、それだけではない。注意して見ればわかることだが、キャグニーは現代の俳優にずいぶん大きな影響を与えている。ジャック・ニコルソンがにやりと笑うとき、クリント・イーストウッドが声を低めるとき、レオナルド・ディカプリオが突っ張ってみせるとき、私は彼らの背後にキャグニーの濃い影を認める。そういえば彼は、『ミスタア・ロバーツ』(一九五五)で共演したジャック・レモンにこんなことをいっている。
「芝居なんて難しくないよ。台詞を覚え、自分の足で立ち、相手の眼を見つめて話しかけるだけさ。ただし、本気でね」
