10分の1サイズでも、機能はちゃんとG-SHOCK

 G-SHOCK nanoは、通常のG-SHOCKと比べて約10分の1のサイズながら、耐衝撃構造と20気圧防水を備え、コンパクトでありながら高い実用性を確保した「カシオ史上最小」の耐衝撃ウオッチだ。

同社史上最小の耐衝撃ウオッチ、DWN-5600-1JR

 G-SHOCK初号機の角型フォルムを受け継ぐ「5600」のデザインを指輪サイズに落としこみ、時、分、秒の表示、カレンダー、LEDバックライト、ストップウオッチ、2つの異なる時刻を表示できるデュアルタイムなど基本的な機能を備える。カラーはブラック、レッド、イエローの3色を展開し、価格は1万4300円。電池寿命は約2年で、カシオの電池交換サービスに対応している。

 G-SHOCKのコンセプトは「止まらない、狂わない、壊れない」。小島氏は「この3つを満たさない限り、G-SHOCKの名を冠することはできない」と説明する。

ADVERTISEMENT

 1983年の初号機デビュー以来、G-SHOCKはこの理念を貫いてきた。落としても壊れない耐衝撃構造、高い防水性、そして正確な時を刻み続ける信頼性。これらすべてを備えることが、G-SHOCKたる条件だった。当然ながら指輪サイズでこの基準を満たすことは容易ではなく、時間が必要だった。

特に難しかった機能は……

 20気圧防水の実現が最大のハードルとなった。リングウォッチのCRW-001で搭載した3気圧防水は、日常生活防水レベルのため洗面所で水がかかっても大丈夫という程度だが、20気圧防水は水深200メートルの状態でも動くという基準である。

 時計のケースと他の部品が組み合わさる箇所から、水は必ず浸入する。それを防ぐため、通常の時計では風防ガラスとケースの間にパッキンを入れ、圧入することで気密を保つ。しかし、指輪サイズの時計で使うようなパッキンがそもそも作りづらく、圧入も困難だった。そこで、通常の圧入ではなく、特殊な接着技術を採用。ガラスの縁を接着剤で密閉して、20気圧防水を実現した。

 サイドボタンの防水構造にも工夫が必要だった。直径約1ミリのボタンに、二重のパッキンを組み込み、さらにそのボタンをケースに差し込み、内側から「Eリング」という小さな留め具で固定する――。こうした極小サイズでの組み立てを、手作業で行っていった。

DWN-5600-1JRの構造

 これまでにない、高い技術的なハードルを乗り越えていく中で、従来の常識を塗り替える「発見」もあったという。例えば、通常のG-SHOCKでは液晶ガラスの厚みが0.4ミリだが、G-SHOCK nanoでは0.15ミリまで薄くしている。当初は割れやすくなるのでは、と懸念があったというが、サイズを小さくすることでガラスが強力になり、逆に割れにくくなることが分かった。

「常識とされているものより、技術スタッフの小型化に挑戦する意欲が勝ち、さまざまな発見がありました」(小島氏)