60歳を超えて仕事と収入が激減した男性が人生初の就職活動を行い、日雇いでゴミ収集員に。意気揚々と出勤した日に待ち受けていたのは、思わぬ命の危機と、不思議すぎるゴミだった――。

 人生100年時代ともいわれる一方、年金制度の先行きが危ぶまれる昨今、60歳や65歳での「リタイヤ」はもはや許されない。私たちは定年退職を迎えた後も、生涯にわたって働く必要がある時代に突入している。とはいえ、老境に入って体力が衰えていても従事できる仕事には、どんなものがあるのだろうか?

 これまでフリーライターとして活動してきた神舘和典さんが、60歳を超えて「人生で初めての就職活動」を行い、さまざまな職業を体験したルポ『60歳からのハローワーク』(飛鳥新社)から「日雇いゴミ収集員」として働いてみた際のエピソードを抜粋してお届けする。(全3回の3回目/最初から読む)

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危険で不思議な、ゴミ収集の現場 ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

◆◆◆

左右に分かれて、ゴミを車に放り込んでいく

「さあ、やりますよ!」

 路肩に清掃車を停めたサトウさんに言われ、清掃車を降りる。

 駅周辺は集合住宅が多い。ゴミ置き場に入り、積まれている紙類を抱えて清掃車の箱型のコンテナに次々と放り込んでいく。スイッチを押すとコンテナ後部の回転扉が作動して、ゴミが内部に押し込まれる。

 サトウさんは道路の右側、僕は左側のゴミを受け持った。全国的にゴミの未分別が問題視されているが、この地域の住民はきちんと分けている。

 清掃車の前後20メートル分くらいのゴミを収集すると、クルマを少し前に進めて、次の20メートルのゴミを収集する。ドライバーはその都度清掃車に乗り降りする。ヨコ乗り作業員は徒歩や小走りで移動する。サトウさんは狭い路地でもするすると清掃車で入っていく。前進も後退も自在だ。

 そんな作業中、僕は午前の駅まわりの収集で大きなミスを犯した。