警察が殺人容疑まで視野に入れて捜査
このように稲葉らは、メンバーを入れ替えながら岐阜、北海道、岡山、青森と四つの物件に火を放ち、計1億2800万円もの保険金を詐取し続けてきたのだ。
「ここまで同じ手口を繰り返していながらバレなかったのは、元調査員の深町というブレーンがいた事に加え、犯行が県を跨いでいたからでしょう」(同前)
しかし、今年になって遂に悪事が露呈する。
「4月25日、岡山県警が稲葉らを放火容疑で逮捕したと発表(後に詐欺未遂容疑でも再逮捕)。これを皮切りに、各県警も次々と放火や詐欺の容疑で逮捕に踏み切ったのです」(同前)
そして――。
稲葉らが逮捕される直前、最後の犯行と疑われているのが、冒頭の上富良野町のアパート火災だった。
「アパートの延べ床面積は233平方メートル。所有者は稲葉の親族の名前です。北海道警はこの火災に重大な関心を寄せており、全国に捜査員を派遣。関係者を次々と聴取し、殺人も視野に入れて捜査を続けています」(全国紙デスク)
なぜこれまでの4件のように放火と詐欺だけでなく、殺人容疑まで警察は視野に入れているのか。その理由は、火事で亡くなった岡崎と稲葉に、浅からぬ関係があったからだ。
岡崎と稲葉の共通の知人が打ち明ける。
「少なくとも2人は十数年前から付き合いがあり、今回の一連の事件についても岡崎さんはキーマンと言えるほどの“共犯者”だったはず。そんな彼が上富良野町で焼死したのです」
岡崎はどんな人生を歩んできたのか。
客の資金を流用して懲戒解雇、詐欺容疑で逮捕…
生まれたのは1952年。周囲には島根県出身と語っていた。
「大阪の岸和田や和歌山で育ち、神戸大学を卒業したと嘯いていましたが、本当は関西大学法学部の卒業生。昔は別の名字で、大卒後は日興証券(現SMBC日興証券)の堺支店で働いていました」(同前)
だが、わずか5年で懲戒解雇となってしまう。
「客の運用資金を他の客の損失の穴埋めに流用していたことがバレたんです。それなのに彼は見栄を張って、『ロサンゼルス支社で働いていた時に身体を壊したから辞めた』と色んな人に嘘をついていました」(同前)
その後、東京・高田馬場にあった投資顧問会社に再就職するも、
「そこでも嘘の情報を投資家にもちかけ、1億3000万円を騙し取ったとして88年、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された」(同前)
以後、職を転々とし、82年の「ホテルニュージャパン火災」で捕まった横井英樹(故人)の下で働いていたこともあったようだ。