2人のカネを巡っての口論は徐々にエスカレート
夏になると岡崎は、60代の女性と同棲を始めた。
「玄関にマジックで書いた手製の紙の表札を貼り付けてね。夫婦のような様子で暮らしていた」(同前)
だが幸せな時間は長くは続かなかった。2人は冬の訪れを前に上富良野町から去っていったという。
稲葉の共犯者だった岡崎。2人のカネを巡っての口論は徐々にエスカレートしていく。ある不動産ブローカーはこう証言する。
「お互いがお互いの悪口を電話で言ってくるから困りました。温厚な岡崎さんがキレて『あんたは僕と稲葉のどっちを信じるんだ!』と激高されたこともある。稲葉は羽振りが良かったが、一方で岡崎さんはカネがない。同棲していた彼女からも借りていたほどだった」
そして今春、岡崎は単身で再び上富良野町に現れた。前出の近隣住民が言う。
「火事になる3日前、岡崎さんが1人ぼっちで歩いているのを見かけました」
前出のアパートの管理会社担当者が言う。
「実は火事になった日は、アパートの部屋をリフォームするための打ち合わせが業者と組まれていました」
岐阜と青森で稲葉らは、リフォームの話が進んでから放火している。上富良野町の事件は“早過ぎる”のだ。
火災発生直後、担当者は稲葉からこんな言葉を聞いたのを記憶しているという。
「どんな方が亡くなったんですか? お祓いとかした方がいいですかね?」
稲葉は岡崎のことを知っていたにも関わらず、こうした発言をしていたのだ。
火災の日に稲葉は北海道にいた
さらに、前出の共通の知人はこう証言する。
「火事から数日経った後、私が稲葉に岡崎さんが亡くなったことを伝えたら『え〜本当ですか。まいったなぁ』と初めて知ったかのように白々しく言っていたんです。親族がオーナーの物件なのだから、すでに知っていたはずなのに。岡崎さんは脳梗塞の影響で足が悪く、睡眠薬も飲んでいた。だから火事に気が付いてもすぐには逃げられなかったのではないか……」
こうした稲葉の“矛盾”は何を意味するのか。前出の捜査関係者が明かす。
「火災があった4月3日、稲葉は間違いなく北海道にいたことが分かっている」
放火、保険金詐欺からさらに先の一線を稲葉は踏み越えたのか。稲葉は警察の調べに対し、黙秘を貫いているという。
(文中敬称略)
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