というかそれを言い始めると、私の横に座っていた松嶋菜々子さんは着物でそれはもうずっと姿勢が良く、お美しく、「女優さんの体幹すごすぎる」と感動していた。いや、こんなこと書くとお前はどこに感動しているんだとツッコミを受けそうだが、みなさん想像してください! 着物で4時間座りっぱなし! あんなに姿勢良く楽しそうに微笑んでいるところを見て、尊敬せずにはいられない。私も今年は体幹を鍛えたいです。

 ドラマ『やまとなでしこ』(フジテレビ、2000年)ファンとしては、最後に楽屋へ帰るときに主題歌を歌われたMISIAさんと主演の松嶋菜々子さんが楽しそうにおしゃべりなさっていて、もうそこに溢れ出るオーラが光り輝いていた。これを見られただけで生きててよかった。NHK様ありがとう。

『あんぱん』『ばけばけ』朝ドラスペシャルステージ

 見られてよかったといえば、朝ドラファンとしては、『あんぱん』『ばけばけ』のスペシャルステージは最高であった。『あんぱん』のステージでは北村匠海さんの歌がものすごく上手くて「たかし、そんな歌えたの!?  作詞だけで終わってる場合じゃないよ!?」と一瞬思ったのだが、よく考えればたかしの中の人は大ヒットソング『猫』を歌い、紅白出場経験もある方だった。紅白が終わってからというもの、DISH//の曲を流しています。

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『ばけばけ』の主演の髙石あかりさんは、紅白を通してさらにファンになったひとりであった。裏でもにこにこしていて、姿勢が良くて美しく明るく、おトキちゃんの着物も素敵だがドレスも最高に似合っていた。仲野太賀さんと一緒にずっとずっと楽しそうに審査員席で観客を盛り上げ、ハンバート ハンバートのステージではヘブン先生ことトミー・バストウさんと仲良さそうに聴いていて、『ばけばけ』の世界が2025年に現れたのかと思った。そして、生で聴くハンバート ハンバートのお二人の歌声は圧巻だった。

紅白のステージに登場した『ばけばけ』主演の髙石あかり(右)と、トミー・バストウ(NHK『ばけばけ』公式Xより)

プロフェッショナルな人間たちがつくりだす「ハレの場」

 観客も審査員もアーティストもスタッフさんもみんな、人である。人間である。この世にはいろんなプロがいる。プロフェッショナルな人間が集まり、年越しを迎えるために、流行歌を、往年のヒットソングを、演歌を、歌い踊る。そうしてハレの場をつくりだす。

 そもそも芸能そのものが、ハレの空間なのかもしれない。日常という終わりなきケの場に生きている私たちの節目をつくりだすために、非日常のハレをつくりだすための場所。だとすると紅白歌合戦は、さまざまなジャンルのプロフェッショナルが集結し、みんなで場を盛り上げ、非日常の空間を潜り抜けることで年越しを寿ぐ、そんな場所なのだろう。そしてそんな大掛かりなことをやれる場所は、大みそかの紅白歌合戦だからこそ、可能になっているのかもしれない。

ゲスト審査員をつとめた文芸評論家の三宅香帆さん

 第76回NHK紅白歌合戦は、NHK ONEで1月7日(水)まで見逃し配信中。シーン別にチャプター分けされた特設ページは、こちらからアクセスできます

「第76回紅白歌合戦」見逃し配信がシーン別にチャプター分けされた特設ページ
最初から記事を読む 「すごい、これがプロだ」紅白審査員・三宅香帆の“度肝を抜いた”NHKホールでの「驚きの光景」