恋愛感情や性行為を伴わない「友情結婚」を選んだ夫婦がいる。40代男性のカイトさんと30代女性のメイコさんは、互いに「ゲイ」と「アセクシャル」という性的マイノリティで、2019年の年末に掲示板で出会い、2021年に入籍。現在は2歳の長女を育てている。

 昨今、新しい結婚の形として少しずつ広がっている友情結婚だが、カイトさんとメイコさんには「こういう結婚のスタイルがあるのだと初めて知った」というポジティブな反応だけでなく、「子どもがかわいそう」「健全に育つのか」といった厳しい声も寄せられている。さまざまな媒体に出演し、友情結婚の実態を発信し続ける2人に、結婚生活のリアルなようすや現在の心境を聞いた。

1児を育てる「友情結婚」夫婦のカイトさん(左)とメイコさん(写真提供=本人、以下同)

結婚条件の1つに「婚外パートナーOK」とあったが、実際は……?

 2人はもともと独身でいる意向が強かったものの、次第に両親などから「孫が見たい」というプレッシャーを強く感じるようになり、結婚を視野に入れ始めた。とはいえ性的マイノリティであることからさまざまな制約があると感じ、インターネットで調べている中で「友情結婚」という概念を知ったという。

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 そのため、2人の結婚生活は、一般的な夫婦とは異なる部分が多い。寝室は別々なことはもちろん、結婚条件の1つには「お互いのパートナーについて口出ししない」という項目もあった。

 ただし、メイコさんは「私はアセクシャルなので、恋愛的にも性的にもパートナーを必要としていない」と語り、カイトさんも「今は外でパートナーを探すより、家庭を十全に回したいという気持ちが大きい」と話す。実際、両者とも婚外パートナーは作っていない。

小さな価値観の相違はありつつも、2人の結婚生活は順調だ

娘は「性行為なし」で授かった

 現在2歳となる長女は、性行為を伴わない「シリンジ法」と呼ばれる方法で授かった。2人の関係性について、いつか娘に聞かれた場合にはどう説明するのか。この問いに対し、カイトさんは「そもそも話すタイミングがない」としながら、次のように話す。

「『どうやって出会ったの?』と聞かれたら、『インターネットでママがパパを見つけてくれたんだよ』とは話すかもしれませんが、そこに恋愛・性的指向の話題が絡むことはないんじゃないかなって」

  メイコさんも同意する。

「両親が恋愛結婚か友情結婚かは、子どもの成長にあまり関係ないのではないかなと私たちは思います」

  2人目は作らない予定だ。「長女にしっかりお金をかけてあげたい」とカイトさん。「僕らそれぞれの幸せも大事にしたい。そのためには経済的な基盤が大事なので、子どもは1人で十分」と話す。

長女と昼寝するカイトさん

 さまざまな媒体で友情結婚を発信し続ける中で、ポジティブなものだけでなくネガティブなコメントも寄せられている。それでもこうした発信を続けるのは「結婚せざるを得ない状況があった性的マイノリティの人たちに、1つの選択肢として友情結婚の実例を伝えていけたらいい」(カイトさん)という思いがあるからだ。

 結婚生活への満足度を問われると、2人は「満足しています」と口をそろえる。従来の在り方にとらわれない結婚の形は、これからも広がっていきそうだ。


 2人が出会ったきっかけや結婚を決意するまでのいきさつ、実際の結婚生活のようすなど、インタビュー全文は下記のURLよりお読みいただけます。

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