リニア中央新幹線の談合事件を巡り、第2次安倍晋三政権の官邸官僚が、工事を受注した大成建設の山内隆司会長(当時)に対し、「裁判になっても勝ち目があるから、検察と争ったらどうか」と伝えていたことが分かった。ノンフィクション作家・森功氏の取材に対して山内氏が明かした。
スーパーゼネコン4社を独占禁止法違反容疑で起訴
2018年3月、東京地検特捜部はリニア中央新幹線の工事を巡り、大成建設、鹿島建設、大林組、清水建設のスーパーゼネコン4社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で起訴した。大林組と清水建設は自主的な違反申告を行って課徴金を減額された一方で、大成建設と鹿島建設は法廷で争うことを決断。結果、それぞれ2億5000万円の罰金が言い渡され、目下、上告審の判断を待つ状況だ。
山内氏が裁判を振り返る。
「4社が次々と摘発されていったのですが、捜査への対応が真っ二つに分かれた。われわれは検察と闘いました。が、それでえらい目に遭いました」
山内氏は法廷で闘うことを選んだ理由について、第2次安倍政権の官邸官僚から、「裁判になっても勝ち目があるから、検察と争ったらどうか」と伝えられたことを挙げる。
「あのときの政権は、当時の東京高検のトップを使えば検察を抑え込める、と期待していましたし、実際にそう話していました」
「官邸官僚から、『この裁判は勝てる』と囁かれた」
当時の東京高検トップである検事長は黒川弘務氏だった。リニア談合事件の渦中である2020年1月、安倍政権は定年退職が迫っていた黒川氏を検事総長にするため、定年延長を閣議決定。黒川氏はその直後、『週刊文春』が報じた賭けマージャン疑惑により検察を去ったものの、時の政権が禁じ手ともいうべき定年延長に踏み切ったことは大きな批判を呼んだ。
森氏が「東京高検検事長だった黒川弘務のことか。いったいどのように捜査を抑え込もうとしたのか」と尋ねると、山内氏はこう語った。
「要するに官邸官僚から、『この裁判は勝てる』と囁かれた。で、『どうやったら勝てるんですか』と聞いたら、『検察にも同じ意見を持ってる人間がいる。だから、その人物を検察の主流に持ってくればいい』とそう話すわけです。官邸が検察人事に介入すれば、うまくいくと理解しました」
山内氏に黒川氏の関与をほのめかした官邸官僚とはいったい誰か。発売中の月刊「文藝春秋」2月号、および月刊「文藝春秋」のウェブメディア「文藝春秋PLUS」では、森功氏による「リニア談合事件で暗躍した官邸の守護神」を掲載。大成建設が家宅捜索を受けた2017年12月19日の様子など、山内氏が当事者として経験した事件の内幕について詳述している。
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