これまで「ゲテモノ」扱いされることがほとんどだったが、日本でも近年注目が集まる「昆虫食」。まだ抵抗感を持つ人が多いものの、世界にはまだ日本人が知らない「普通においしい虫」もたくさん存在する。

 例えば、その一つがカメムシ。見た目も、そのにおいからも食用には程遠い印象だが、踊り食いしてみると口に広がるのは、意外にも「超有名な菓子」に似たフレーバーだった――。

 世界の虫を食べ歩いてきた吉田誠さんによる新著『世界の虫を食べてみたい 幻の「ミツツボアリ」と「素数ゼミ」を追い求めて』(緑書房)から一部抜粋し、お届けする。(全4回の2回目/続きを読む)

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カメムシを食べてみたら、意外な味だった! ©poe/イメージマート

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異国の地で、世にも珍しい「虫の踊り食い」体験

 各地で販売されている昆虫を見ていると、地域によって売られている昆虫がバラバラではあるが、タガメやカイコガ、コオロギなどは複数の地点で売られていた。各地を回っていた中で度肝を抜かれたのは、ラオス国境近くの山間の街・ルーイでの出来事だ。

 ルーイ県は、タイ屈指の奇祭であるピーターコーン祭りがあることで有名だ。しかし今回の目当ては祭りではなく、昆虫だ。平野部が多いタイ東北部のイサーン地方の中では、珍しく山の多い地域で、どのような昆虫が販売されているかをぜひ見たい。今にも壊れそうなスマホの再起動を繰り返しながら、ルーイへと向かったのであった。

 ルーイになんとか辿り着くと宿へ荷物を預け、情報収集のため、街の散策へ繰り出した。日が暮れかかり、市場へ急ぐ。早朝にどこで昆虫が売られているか? 片言のタイ語で聞き込みをしないと、翌朝の食用昆虫の販売場所がわからないのである。

ルーイのバスターミナル(書籍より、以下同)

 市場へ到着すると、魚や昆虫が売っていそうな雰囲気の場所を見つけた。あたりを見回すと、タガメなどと一緒に、竹の筒に入った何かが売られていた。

「これは何?」

竹の中にはカメムシが……!

 聞いてみると、店員は無言で筒から虫を取り出した。そしてプチッとふたつ折りにして、手渡してくる。

 なんだこりゃ、カメムシじゃないか!!