これまで「ゲテモノ」扱いされることがほとんどだったが、日本でも近年注目が集まる「昆虫食」。まだ抵抗感を持つ人が多いものの、世界にはまだ日本人が知らない「普通においしい虫」もたくさん存在する。

 毒グモの代名詞、タランチュラもその一つだ。カンボジアでは山盛りにして屋台で売られており、食べてみると意外にも日本人が大好きな「あの食材」の味が――。

 世界の虫を食べ歩いてきた吉田誠さんによる新著『世界の虫を食べてみたい 幻の「ミツツボアリ」と「素数ゼミ」を追い求めて』(緑書房)から一部抜粋し、お届けする。(全4回の3回目/続きを読む)

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タランチュラの「意外な味」とは……?(書籍より、以下同)

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未知なるタランチュラの味を求めて

 通訳や研究者との合流はシェムリアップ近郊だったので、1人でプノンペンからスクンに向かい、シェムリアップ行きの乗合バスを途中で下ろしてもらった。スクンに着くと早速タランチュラのモニュメントが出迎えてくれた。タランチュラの手がかりを探すまでもなく、集落全体でタランチュラを推している雰囲気があり、これは期待大である。

タランチュラのモニュメントがお出迎え

 ちなみにタランチュラは昆虫ではないので、タランチュラを昆虫食というと四方八方から指摘を受ける。一応節足動物だけれども、そもそも足が8本だ。6本足の昆虫とは違うことは、あらかじめ断っておこう(これを書いておかないと、愛好家が怖いのだ)。

 お目当てのタランチュラは、どうやら売店にもありそうだ。しかし、せっかくカンボジアの僻地まで来たからには、養殖現場を見てみたい。ホテルを確保し、聞き込み調査を開始した。

 しかし、クメール語ができない私にできることは少ない。『旅の指さし会話帳』を使いながら、この2つの単語で聞き回ることしかできない。

「ピンピエン(クモ)、コンラエンナー(どこ)?」

 灼熱のカンボジアの大地を歩き回ったが、クモ農場の手がかりは全くなかった。暑くて死にそうになりながら歩いていると、遊んでいる子どもたちを見つけた。

「ピンピエン、コンラエンナー?」と聞くと、原っぱを指さし「付いて来い!」というようなジェスチャーをしている。よくわからないまま付いて行くと、地面に穴が空いていた。