「女っぽくなっていくのに抵抗がありました」

 だが、年齢を重ねるとともに、次第に「推し」は在り方を変えていく。ボーイッシュだった少女は、雑誌『Cancam』(小学館)の専属モデルになり、フェミニンな魅力を見せ始める。

「莉佳子が女っぽくなっていくのに抵抗がありました。モデルをするようになってからは、エクステをつけたり、ネイルをゴテゴテにしたり、ちょっとギャルっぽい時期もあったり……。見た目が“女性”って感じになりました。正直に言えば、そういうのはあんまり好きじゃないなぁ、と思っていました」

 ファッション誌の専属モデルに抜擢されることは、本来であれば、ファンとしては喜ばしいはずだ。「推し」が活躍の場を広げたのに、それを素直に喜べない。むしろ「あんまり好きじゃない」と言ってしまう。

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 私の好きだった「推し」じゃない、あの頃の唯一無二の魅力が失われてしまった──。「自分だけが知っている特別性」が剥奪されていくようで、喪失感とさびしさを感じていた。

「推し」という病 (文春新書)

加山 竜司

文藝春秋

2026年1月16日 発売

次の記事に続く 「血まみれのチェキをSNSにアップして…」推し活に人生を捧げる20代女性が同棲パートナーの“裏切り”に見せた「まさかの行動」とは