38年間、無実の罪で時間を奪われた男がいる。警察に信じられた自白、疑問視されなかった鑑定、そして世論の後押し。獄中でも無実を訴え続けた彼は、高齢になってようやく自由を取り戻す。だが残されたのは……。

 イギリス史上最長の冤罪事件のその後を、新刊『世界で起きた恐怖の冤罪ミステリー35』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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獄中でも無罪を主張したが…

 1987年からリバプールクラウン裁判所で始まった公判で、検察側はサリバンの自白と、シンダルの遺体に残された噛み跡がサリバンの歯型と一致することを犯人の証拠として提示する。被害者の膣内から検出された精液をDNA鑑定にかける技術はまだ開発されていなかった。

 サリバンは無罪を主張し、自白は警察の強要によるものだと主張したが、陪審員は有罪を認定。判事は終身刑を宣告し、最低16年の服役を命じた。その瞬間、彼の母親は泣き崩れ、妹は気を失い蘇生処置が必要なほどだったという。

 身に覚えのないサリバンは獄中でも一貫して無罪を主張。何度も控訴を試みるが、2008年、犯罪事件審査委員会(CCRC)は申請を却下。2019年の高等裁判所控訴も訴えを退ける。しかし、2021年、法医学の進歩によりCCRCが精液サンプルを再検査。結果、ダイアンの遺体から採取した精液にサリバンのDNAが一切含まれておらず、彼女の家族や婚約者とも一致しないことが判明する。