ワクワクする未来の提示こそが人を動かす

 ある商品やサービスを売る場面にせよ、ビジネス上の課題解決に向けたプレゼンテーションにせよ、聞き手(や顧客)のハッピーを心から願うGiverとしての姿勢が、人を動かすものとなります。

 僕のマイクロソフト時代の話を少しすると、エンジニア向けのプレゼンテーションをよく行っていたのですが、「僕らエンジニアって、なにかトラブルが起きたときは詰められるけど、システムがうまく回っているときって全然褒められないですよね。でも僕は知っています、みなさんが普段からすごく頑張っていることを」という話を必ずしています。

 しっかり「ねぎらいの言葉」をかけたうえで、「みなさんと同じ気持ちだから、一緒にこういう未来をつくっていきましょう」と締めくくると、大抵ものすごくウケていましたね。「僕らは本当に頑張っている、だからもうちょっとこの点で面白いことをやってみようか」というワクワクする未来を提示するストーリーは、人を行動へと促すものとなるんです。

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――そんなふうに提案されたら、俄然やる気になりますね!

 最近僕がやっているプレゼンの最後のスライドはいつも同じです。それは「一緒に素敵な未来をつくりましょう」というメッセージです。相手の幸せを心から願うGiverとして、僕の話を聞いたすべての人は「自分にもできるかもしれない」という活力を持って会場をあとにしてほしいからです。

 本書には、聞き手の心を動かす話し方の本質を、テクニカルな要素もふくめて惜しみなく盛り込みました。みなさんの仕事がよりハッピーになる一助となれば幸いです。

The Giver 人を動かす方程式

澤円

文藝春秋

2026年1月15日 発売

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