1993年、埼玉で発覚した《愛犬家連続殺人事件》。4人を毒殺し、遺体をサイコロステーキのように解体・焼却した“殺人ブリーダー夫婦”は、なぜ誕生したのか。その原点には、男が抱え込んだ虚言と悪徳商売、そして女を救ったはずの「あるヤクザとの揉め事」があった。文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目/続きを読む

埼玉県大里郡江南町の荒川で遺体の捜索をする捜査員(画像:時事通信)

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4人を毒殺した「いわくつきの夫婦」

 1993年、埼玉県熊谷市周辺で恐るべき事件が発生した。ペットショップを営む関根元と風間博子の元夫婦が金銭トラブルをめぐり顧客ら4人を毒殺したのだ。

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 特筆すべきは彼らが被害者の遺体をバラバラに解体・焼却し跡形もなく証拠を消し去ったこと。鬼畜な犯行に及んだ2人には後の裁判で死刑判決が下った。

 関根は1942年、埼玉県秩父市の下駄屋の四男坊として生まれた。幼少期から虚言と悪知恵に長けて、周囲からは「ホラ元」のあだ名で呼ばれた。中学に上がると髪の毛を染め、地元の暴力団の使い走りのようなことをやるようになる。

 卒業後、地元のラーメン屋で出前持ちとして働く傍ら、実家の下駄屋の土間で犬の繁殖を始める。ちなみに、勤め先のラーメン屋は関根が働いているころに全焼。店主の遺体が発見されたときは骨だけになっており、警察は単なる火災として処理したが、これは関根による放火殺人だったと言われている。

 その後、19歳のときにラーメン店時代の同僚女性と結婚し一男二女をもうけたものの、やがて秩父市内の病院で働く看護師の女性と不倫関係となり離婚。1970年ごろに再婚し同市内のアパートに移り住む。ライオンを飼い始めたのもこのころで、後に2人は「ライオンを飼う夫婦」としてテレビ出演したこともあるそうだ。

 1975年ごろから実家を改造しペットショップを開業するとともに、犬やトラ、ライオンなどのリース業を開始。特別、動物に愛着があったわけではない。あくまで金のためだった。