冒頭の「お焚き上げ」は、その最中に行われたものでした。刑事裁判の判決が無期懲役となったあと、加藤さんの精神状態は悪化し、国家賠償請求訴訟の間には、「これで負けたら死ぬしかない」という絶望感を口にするようになっていました。ぜひこの訴訟では勝訴して、加藤さんに笑顔を取り戻してあげたいと思いながら、お焚き上げの炎を見つめていたことを覚えています。

 しかし、結果は敗訴で、しかも判決内容は心底がっかりするような中身のないものでした。東京高裁に控訴して、内容的には一部主張が認められたものの結論は敗訴であり、最高裁に上告し、上告から1年以上経って、棄却の通知が届きました。2024年11月のことでした。

うつ伏せになって折り重なっていた小学生の姉妹

 さすがにガックリしました。刑事裁判、国家賠償請求訴訟のどちらも想像以上に大変で、私自身も何度も心が折れそうになりました。それでも最後まで投げ出さずに頑張れたのは、加藤さんの人の娘さんのご遺体の写真の存在があったからです。

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 小学生の姉妹は、うつ伏せになって折り重なる形で発見されました。どちらが先に殺害されたのかは分かりませんでしたが、二人は一緒にいて、どちらか一人が殺されるのを見ていた可能性もありました。どれだけ怖かったことでしょうか。そして、「美咲、春花、パパが守ってあげられなくてごめん」と意見陳述で述べた加藤さんの心はどれほど痛かったことでしょうか。私は折に触れて、二人の娘さんのご遺体の写真を思い出し、自分の心を奮い立たせていました。

 しかし、刑事裁判も国家賠償請求訴訟も、加藤さんの望みを叶えることはできませんでした。それでも、全ての裁判が終わったあと、加藤さんからは「先生にお願いしてよかったです」という言葉と、「今後は被害者支援で自分にできることがあったらやっていきたいので、その時はお声がけください」との申出があり、私のほうが救われました。

 加藤さんのような過酷な目に遭った人にしか分からないこと、できないことはたくさんあると思います。加藤さんが少しでも前を向いて生きていけたら、と願わずにはいられません。

次の記事に続く 「どうしていいのか分からない」「見たくないけど、見なかったら後悔すると思う」…家族がひき逃げされたとき遺体写真と対面する? “犯罪被害者代理人”が明かす“証拠確認”のリアルな現場