日経平均が30万円ならコンビニのおにぎりは1個1000円!

杉村 地政学的にはどうでしょうか。

エミン 米中新冷戦により、米国が中国からのデカップリング(経済分断)を進めることで、日本の地政学的な重要性は高まります。米国は日本を重要な戦略拠点と見なし、「日本を優遇するし、製品も買うから、どんどん生産して」となって日本にサプライチェーン回帰をもたらす。これは日本経済にとって強烈な追い風となるでしょう。

杉村 今後、株価が上がり続けるという見方は私も同じです。同時にこれは、インフレの進行を意味しています。日経平均が30万円になる頃には、コンビニのおにぎりが1個1000円になるでしょうね。

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エミン・ユルマズ氏 

エミン そう、その頃には大卒の初任給は100万円を突破し、5万円札が生まれるでしょう。そして資産価格の上昇のスピードはインフレより速い。たとえばここ5年間で物価は全体で2割程度の上昇ですが、東京23区内のマンション平均価格は2倍近くになっています。つまり通貨の価値が目減りし、購買力がどんどん減っているのです。これまで日本はバブル崩壊のトラウマから企業も個人も借金や消費を減らすというデフレマインドで生きてきた。しかし、今後はインフレマインドに切り替える必要があり、それに気づいて行動した人が資産の購買力を守れるのです。

杉村 銀行にお金を眠らせているだけの人と、積極的な資産形成をしている人では大きく差がつくということですね。結果、中間層が薄くなり、一部の富裕層と大半の貧困層という超格差社会が訪れてしまう。言葉を選ばずに言えば、「中間層でとどまり続けるためにも投資が必要」であり、株式の配当という“第二の所得”を得た方がいい。私は、生活費と1年以内に使う予定のお金以外はすべて投資資金に回しています。

「サイゼリアがおいしくて混んでいる」から始まる投資

――では、投資の第一歩としてどのようにして銘柄を見つけるのでしょうか。

エミン 初心者であれば身の回りの企業から始めてみましょう。私たちは毎日、100社以上の上場企業にお世話になっています。朝起きたら花王やライオンの歯ブラシを使い、青山のスーツを着て、出勤途中にセブン-イレブンに寄り、JRで通勤したりする。身近なところで「これいいな!」と感じる商品やサービスを展開する上場企業に目を留めて、入り口にしてみる方法です。

杉村 まずは銘柄を買ってみないと勉強する気にならないですからね。

エミン 私が買った例で言えばサイゼリヤ。おいしくてリーズナブルでいつも混んでいる、というところから目をつけた。ホームページを見たら海外展開しているとか、原料の加工工場を自社で持っているなど独自のサプライチェーンを構築していることがわかり、成長余地や業界での優位性が感じられました。そして『会社四季報』で業績を調べて購入を決定。このように「調べて見つける」のではなく、「見つけてから調べる」のが好きなんです。

 3年ほど前になりますが、私の知人の娘さんは「ハローキティ」が大好きだということでサンリオの株を買った。サンリオの株価は、直近では下げているものの3年前に比べて大きく伸びています。もちろん、これはビギナーズラックではありますが、好きなものから投資を始めるというひとつのよい例でしょう。

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