投資家としても「じつは大成功」している杉村太蔵氏は、新著『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』の中で、インデックス投資を「新手の貯金」と語る。『エブリシング・ヒストリーと地政学』が版を重ねるエコノミストのエミン・ユルマズ氏は、地政学的な見地から、ヘルスケアやAIなど世界のメガトレンドに着目。到来する「超インフレ時代」に打ち勝つ銘柄を語り合った。

◆◆◆◆

杉村太蔵氏 撮影・山元茂樹(文藝春秋)

「オルカン」「S&P500」は“新手の貯金”

エミン 投資を始めるきっかけという点では、インデックス投資信託の積立もアリかもしれません。

ADVERTISEMENT

杉村 私はインデックスの積立投資は魅力を感じないですね。「オルカン(オール・カントリー)」や「S&P500」などのインデックス投資はリスクを限りなく減らして資産形成できる手段、つまり防御の資産形成としては有効かもしれませんが、貯金に毛が生えたようなもの。いわば“新手の貯金”ですよ。安心を何よりも重視したいなら定期預金でいいのではと思ってしまいます。

エミン いや、インデックス積立だって貯金とは違い100%安心安全ではないので、投資しているという意識を持つべきです。

杉村 私はインデックス投資信託は、様々な企業を寄せ集めた福袋のようなものだと思う。福袋って不要なグッズが入っていたりするでしょう。本当に自分の欲しいグッズを吟味して適正な価格で買うほうが満足度が高まるのと同じですよ。

エミン まあ、株式投資の王道は個別株なので、本音を言えば勉強して個別株を買ってもらいたいですね。

「国策」「世界流れに沿ったメガテーマ」がキーワード

杉村 先日発売になった私の書籍『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』のなかでもお話ししているんですが、私は「投資とは自分のお金を社会をより良くする使命感から投ずる行為」だと思っているんです。つまり、推しがビッグになれるように応援する「推し活」に似た行為なんです。

エミン では、どのように銘柄を選んでいますか。

杉村 私がお勧めする方法が政府の経済財政諮問会議が公表している「骨太の方針」を読むこと。ここには日本が抱える社会課題と突破口が示されているので、その課題解決に関連する銘柄を探すのです。

エミン まさに「国策に売りなし」(国策に関連する企業や業界の株は売らずに買い増すべきという投資格言)ということですね。

杉村 はい。「骨太の方針2025版」には、大きな柱として「物価上昇を上回る賃上げの普及・定着」「地方創生2・0の推進及び地域課題への対応」「投資立国・資産運用立国による将来の所得増」「国民の安心・安全の確保」が挙げられています。ここから私が考えた注目投資ジャンルは、「賃上げと労働改革」「リスキリングと人材戦略」「地方創生とインフラ整備」「AIと半導体」「資産運用立国戦略」などです。

エミン・ユルマズ氏 

エミン 私は国策にプラスして、世界の大きな流れに沿ってメガテーマを4つ掲げています。それは「ヘルスケア」「通信・半導体」「防衛関連」「環境」です。高齢化に伴いヘルスケア関連消費が増えるのは必至。また、世の中はすべてクラウドで動いているため、通信はこの4分野すべてに関わってくる。防衛には水や食糧、エネルギーの安全保障も含まれます。環境関連は一時期に比べて投資テーマとして盛り上がっていませんが、新規エネルギー投資の半分以上が化石燃料に代わる代替エネルギー関連であり、実体経済としての投資はむしろ増えている。この大きなテーマから細かい数字を見て自分のストーリーを作り銘柄を選びます。