不幸をゼロにする事業はビッグマネーが動く

エミン 社会課題という点では、今後AIはあらゆる課題に関わり、その領域の成長を支えることになる。先ほど挙げたヘルスケア分野にしても、個人の遺伝子をAIで解析して個別最適化された薬が作られる時代がくると思っているんですよ。そうなるとヘルスケア領域全体が大きく成長することになるでしょう。

杉村 私は最近出てきた比較的新しい社会課題に取り組む企業も10倍株として期待しています。たとえば宇宙ゴミ(スペースデブリ)を清掃する「アストロスケール」という会社はおもしろいと思いますよ。宇宙空間に漂うデブリが人工衛星や宇宙ステーションに衝突すれば日常生活に大きな混乱が生じるため、それの回収という課題解決のために生まれた事業です。

 世の中の事業を大別すると「不幸をゼロにする企業」と「幸せを増幅させる事業」の2つがあります。「デブリの衝突による混乱」という不幸をゼロにして平穏な日常を保つという点で、宇宙ゴミの清掃はなくてはならない事業。このように不幸をゼロにする事業はビッグマネーが動く可能性が高い。今後は投資だけではなく職業選択においても、社会課題を解決する仕事を選ぶかどうかが給与を左右するかもしれません。

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人手不足は足枷ではなくチャンス

エミン 現在は人が余っている仕事と人手不足の仕事が二極化している状態。人手不足の仕事は賃金が安いことが多く、オートメーション化によって労働生産性を上げ、賃金を上昇させる必要があります。そのため、AIやロボット分野などのテクノロジー投資が進んでいくことになるでしょう。

杉村 骨太の方針には最低賃金を全国平均で1500円にするという目標が記されており、「時給1500円を払う努力ができる経営者だけが生き残れる」というメッセージが感じられます。政府はこれまで倒産に伴う失業率の上昇を恐れてきましたが、今は人手不足なので倒産が増えても失業率は上がらないですからね。

エミン 雇用の流動化を促すという点でも、人手不足は足枷ではなくチャンスと捉えられます。

杉村 また、地方の中小企業のM&Aも進んでいくと思います。限界に近づいている中小企業と成長したいと考えている企業のM&Aを促進することで生産性を上げて賃上げの流れを作るわけです。その点で私は「日本M&AセンターHD」や「M&Aキャピタルパートナーズ」といったM&A関連銘柄にも注目しています。

エミン すべての銘柄に共通して言えるのが、時間は最大の資産だということ。複利の効果を最大化するためには早く投資を始めることが大事。まず第一歩を踏み出して欲しいですね。

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最初から記事を読む 「おにぎり1000円、大卒初任給100万円」エミン・ユルマズ×杉村太蔵が語る“超インフレ時代”の投資術