つくばの原点と言える場所へ
常陸北条駅の先では、また田園地帯を間に挟んでその名の通りの筑波駅。つくばエクスプレスはひらがなだが、こちらは漢字の筑波駅。ここでは珍しく駅舎も残っていて、バスの営業所として活用されている。
バス停の名前は「筑波山口」だ。その名の通り、筑波登山の玄関口の駅だった。
ここから、また少し遠いが北条から筑波山を登ってゆけば、その中腹には観光ホテルなどが集まる一角。さらにそこからはケーブルカーやロープウェイが続いてゆく。
そう、“つくば”とは、あの人工的な学園都市のことではなくて、本来はこっち、霊峰・筑波山のことなのである。
筑波山は平安時代から信仰を集めた修験道の山で、いまも筑波山神社が鎮座する。麓の田園地帯のサイクリングロードからは中腹に建つ真っ赤な大鳥居がよく見える。きっと筑波鉄道の車窓からも見えたに違いない。
かつては年間400万人を輸送した
筑波鉄道は、大正時代の1918年に開業した。南北に走って常磐線と水戸線を、そしてその間の小さな町を結ぶ……というのももちろん大きな目的だった。が、何よりいちばんは筑波山の登山客・参詣客輸送だったのだろう。
実際、もっとも筑波鉄道が賑やかだった昭和40年前後には、上野駅から常磐線直通で筑波駅まで走る列車もあったほど。年間の輸送人員は400万人、貨物も扱う観光路線。
いま、筑波山へはつくばエクスプレスのつくば駅から筑波山シャトルバスに乗り継げば、中腹のケーブル・ロープウェイ乗り場まで直行できる。それもいいけれど、ローカル線に揺られて麓の小さな町に着き、そこから歩いて登るのも味があって悪くない。つくば駅と筑波駅、約15km離れている。
およそ40kmの筑波鉄道、筑波駅はちょうどその中間地点だ。残り20kmもサイクリングロードは続く。
が、訪れたのは冬の平日。ほとんどサイクリストの姿は見かけず、買物帰りの地元の人か通学の高校生ばかりだ。クルマは決して走らないサイクリングロード、安心安全の通学路でもあるのだ。



