『お水の花道』で主演を務めたとき、財前は役と同様、30代に入っていた。共演者には後輩ホステスの役で新人俳優もたくさんおり、撮影現場では彼女たちに対し、自分がプロとしてお手本となるべく態度で示すことを心がけた。悲しいシーンでどうしても泣けない子がいれば、「泣くことに集中するな」「気持ちで行け」とアドバイスしたり、ときには財前がカメラに写らない位置から、その子のセリフや気持ちに合わせながら自らボロボロ泣いているところを見せて、彼女の気持ちが自然に高まるようにしたこともあったという。
37歳でプロデューサーと結婚→40歳で長男を出産
俳優として地歩を固めてからは、かつてヒロインの最終審査に落ち続けた朝ドラにも『こころ』(2003年度前期)を皮切りに現在まで4作に出演している。このうち『カーネーション』(2011年度後期)では尾野真千子演じるヒロインにミシンを教えるメーカーの営業員役、『ごちそうさん』(2013年度後期)では杏演じるヒロインの母親役だった。前者は東京から来たいかにも垢抜けた婦人という役どころだったのに対し、後者は東京で西洋料理店をコックである夫と切り盛りする肝っ玉母さんという感じで、おそらく財前の素に近い役だろう。この2作に出演したのは、大分に移住して3年ほど育児に専念するため休業したあと、仕事に少しずつ復帰していたころだった。
結婚したのは2003年、相手は、フジテレビの単発ドラマ枠で10作が放送された人気シリーズ『スチュワーデス刑事』(1997~2006年)のプロデューサーだった。財前は37歳になっており、すぐにでも子供がほしかったが、周囲に迷惑をかけてはいけないと仕事が一段落したところで休暇をもらい、妊活に入った。ほどなくして妊娠し、先述のとおり40歳で出産する。子育てをするため大分に移住したのは、息子が生後9ヵ月のときだった。
子育てのために大分移住した理由は…
移住を思い立つきっかけの一つは、息子のお食い初めをしようと都内のスーパーで尾頭付きの鯛を買おうとしたところ、切り身の鯛しかなく、店員から尾頭付きは予約が要ると言われ、ハッとしたことだった。
大分なら海で鯛が獲れるので、いつでも丸のまま店頭に並んでいる。それだけではなく、これから東京で子育てをするのであれば、保育園への送り迎えをマネージャーに頼む場面もあるだろうし、セリフを覚えるため面倒が見られないときにはベビーシッターに来てもらわないといけないだろう。しかし、彼女としては自分が親からそうしてもらったように、できるだけ自分の手で愛情を注いで子供を育てたかった。そこで移住を決意したのだという(『女性セブン』2025年9月11日号)。
