つまりは足の指が自由に動き、かつアーチが支えられている感覚があり、履いた瞬間にぴたりと合う靴ということだ。そんな経験はしたことがない。久道医師は「自分で合う靴を探すのが困難だと感じるなら、靴選びのスペシャリストであるシューフィッターが在籍している靴店もある」とアドバイスする。シューフィッターに自分の足のサイズを測ってもらい、一緒に選んでもらうのも一案だ。ちなみにアシックスはホームページでシューフィッター在籍の有無を公開している。
合わない靴を履いているとどうなるか?
「今までの靴のサイズにとらわれてはなりません」と久道医師。
「若いときにこのサイズで入ったから、自分の足に合うのはこれだという人が非常に多い。けれども日々体重を支えて歩き続けていると、足はだんだんフラットになって横に広がりやすいのです。加齢によって足のサイズが変わることを理解し、今の適正サイズを見極めることが大切です」
さて、それでは合わない靴を履いているとどうなるのか?
靴の圧迫や摩擦によって足の皮膚が分厚くなって盛り上がるタコができたり、ウオノメや水疱ができる。いわゆる靴ずれだ。そして靴ずれがある状態で、無理に歩行を続けていると水疱が潰瘍になるなどして、病原菌などが感染しやすい状態になっていく。
「特に糖尿病にかかっている人は、傷口から細菌が侵入して炎症を引き起こす蜂窩織炎(ほうかしきえん)、さらには骨髄炎などが起きる可能性もあります」
小さい靴や先が細い靴で圧迫され続けると、爪の先端や両端が皮膚に食い込む「巻き爪」や「陥入爪」にもなりやすい。爪の下で内出血を起こしたり、爪自体が変形したりすることもあるという。爪だけならいいじゃないかと思うだろうか。そういった足のトラブルが無理な歩行フォームにつながり、やがて関節や腱、じん帯の不調につながっていくという。
「靴と足は体の一番下にあるでしょう。合わない靴を履いていると重心がズレ、歩くフォームが乱れます。そこを何とか調整しようと関節や腱、じん帯に負荷がかかってしまうのです。歩くときに痛みが生じるアキレス腱炎や足底筋膜炎なども起こりえますし、膝痛などの原因にもなります。また爪や皮膚のトラブルで痛みが発生すれば、ますます歩くフォームが悪くなり、やがて股関節が痛くなって腰痛が起きたり、肩や首の凝りにも関係するでしょう。悪循環に陥ってしまいます」
