切通しの中を抜けてゆくと…
九頭竜川沿いの道路はすぐに山の端っこを削ったような切通しの中を抜けてゆく。実はこの切通し、もともとは京福電車のトンネルがあったところだ。約40mという短いトンネル。
ただ、どうしてか1940年に川沿いの際を通るルートに変更している。きっと、道路を通すための線路切り替えだったに違いない。はじめは道路もトンネルを通っていたが、2車線に拡幅する際にトンネルの上の部分を取り払って切通しに改めたという。
そんな歴史を知って歩く切通し。ちゃんとした歩道があるわけでもない(というか歩道があっても雪が積もっているからよくわからない)県道でも、そこがかつての鉄道トンネルだったと思えば感慨もひとしおだ。
新しく付け替えられた線路の後は草むら(というか雪道)になってほんのり残っているような。用水路を渡る小さな橋のようなものも遠目に確認することができる。
もはやホームは跡形もない
切通しを抜けた先は、やや開けた田園地帯だ。その中をカーブしながら南に通り抜ける県道が、そのままかつての廃線跡なのだろう。
蓬生という駅があったあたりに来ても、特に痕跡などは残っていない。その先の県道とテラルふれあいロードが交差するあたりは、ちょっとした町になっている。大泉駅があったのがその交差点。まるでバス停のような小さな集落の玄関口だったのだろうか。
それから先も、しばらく田園地帯の中を走ってゆく。南に小高い山が見えてくると、その裾に沿うように県道は進む。このあたりは九頭竜川沿いの河谷平野だ。
対岸には勝山の町。国道157号は川の向こう側を走っている。いわば、京福電車は勝山盆地と大野盆地を結ぶ“裏ルート”だったのだ。
さらに進んで山がぐっと川沿いに迫ってくると、それにあわせて廃線跡も東にカーブ。途中で県道と分かれ、廃線跡は山にへばりつくようにして少しずつ上り勾配を登ってゆく。この先にも、ルートが変更された歴史を持つ区間が待っている。


