そもそもなぜ、吉野家と松屋は「ラーメン」を選んだのか?

 そもそもゼンショーHDはすき家部門の売り上げだけでもライバル2社の全社売り上げを上回るのに、牛丼への依存度は25%ほどなのだから、もはや3社のうちゼンショーHDは「牛丼の会社」とは言い難い、と考えた方がいいのだろう。吉野家HD、松屋フーズHDはまず牛丼一本足打法からの脱却が課題であり、そのために相応の規模となる柱を育てるか、M&Aで買ってくるしかないのである。

「すき家」のゼンショーHD、すき家への依存度はそう高くない ©文藝春秋

 当然、両社も昔から事業分散への取り組みは行ってきた。吉野家HDは前述したラーメンへのシフト以外に、コロナ禍の前には持ち帰りすしの「京樽」、「ステーキ・焼肉のどん」(現アークミール)を買収していたので、牛丼依存度は5割程度まで落ちていた。しかし、両事業とも低収益から脱却できず、コロナ禍で持ち切れず売却せざるを得なかった。

吉野家HDは一時期、牛丼事業への依存度が5割程度まで減少していた(同前)

 松屋フーズHDはとんかつ業態の「松のや」を開発して地道に育ててきたが、成長には時間がかかっていた。近年は、松屋の既存店内に松のやや「マイカリー食堂」を併設した店舗の開発に成功、今後は成長が加速する可能性はある。

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 そんな両社は、成長可能性が高い新しい業態のM&Aを常に求めていたということなのであろう。

 では、なぜ数ある業態の中から吉野家HDと松屋フーズHDは新たなフロンティアとして「ラーメン」に目を付けたのか。続く記事では、牛丼チェーンだけでなく、外食各社がラーメンに注目する理由や、ゼンショーHDが今後ラーメンに参入する可能性があるのかなどを考察していく。

次の記事に続く すき家のゼンショーが“高みの見物”の一方で…吉野家と松屋がラーメンシフトを進める「真の狙い」とは?

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