各社がラーメン進出で見据える「真の狙い」とは?

 ラーメン文化発祥の日本国内において、消費者の考えるラーメンの姿は多種多様であって、国内だけでいうと寡占化を追い求める外食チェーンのビジネスモデルとは、最終的に相いれない局面が来るはずだ。では、国内市場だけを見ると伸びしろのなさそうなラーメンで、数千億円規模の売り上げを誇る外食大手は何をしようとしているのか。

 答えは、インバウンド市場とその先にある海外市場といえる。吉野家HDは、正々堂々と2034年度までにラーメンの提供食数で世界一を目指すと目標を明示しているが、ここが正道なのであろう。ラーメンへのこだわりを持つ人の少ないインバウンド、海外市場の「素人市場」を浅く広く拾っていく方が、結果として大きな市場と向き合うことができるはずだ。

2025年に「史上初」となる麺メニューを発売した吉野家。しかしその評価はあまり芳しいものではなかった

 インバウンド狙いはあくまで国内での投資なのでまだ戦略が見えやすいが、海外市場は個々の国情、市場の嗜好などへの適合で難度が高く、日本の外食プレイヤーにおける成功者はそう多くない。ただ、「サイゼリヤ」「スシロー」といった成功者を見れば、結果的に海外事業が事業の柱になっていったことで、今般の円安や原材料高騰を乗りこなし、国内での競争も優位に進められたことは間違いない。

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 世界的なラーメンブームはこれからどの程度定着するのかはわからないが、大きく拡大する可能性は十分ある。牛丼大手2社のラーメン場外戦は、国内の米価高騰対策といった近視眼的な戦略ではなく、海外という大きな成長余地への挑戦として本当の意味があるのである。

 最後に、高みの見物を貫いている、すき家を擁するゼンショーHDがラーメン業界に殴り込んでくる可能性はあるのか、少し考えてみよう。

 売り上げ規模が1兆円を超えるゼンショーHDにとって、売り出し中のラーメンブランド(売上数億~数十億円)を育てて、海外展開し1000億円単位の柱に育てていく、という時間軸は少し遅すぎるようにも見える。「ゼッテリア」への全面転換が話題を呼んだ「ロッテリア」の売り上げが200億円ほどで、今後は全国に広く展開することが見込まれるが、ハンバーガーやカフェテリア業態は、ラーメンのような地域性、嗜好分散性が薄く、早期の全国展開の可能性が描ける。

 ひとことで、牛丼に次ぐ第2、第3の柱、といっても、その期待される事業規模、スピードが業界最大手のゼンショーHDと吉野家HD、松屋フーズHDではかなり違ってきているのだろう。ゼンショーHDがこの10年で、牛丼チェーンから業界最大手のグローバル外食産業へと脱皮した、ということの裏返しでもあり、今後も差が開いていきそうだ。

最初から記事を読む “牛丼御三家”の中で、なぜ「すき家」だけがラーメンに手を出さないのか 吉野家・松屋が焦る一方、高みの見物をしているワケ

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