都内へのアクセスを向上させ、通学客の利便性も高めた
2012年3月17日のダイヤ改正は象徴的だ。この日から最終列車が約40分繰り下がり、勝田発23時44分となった。この列車はJR常磐線上野22時発の特急に接続した。最終列車の繰り下げのおかげで、ひたちなか海浜鉄道の勝田~那珂湊間の利用者は、都内の飲み会に参加する場合でも、都内で宿泊せず日帰りできるようになった。
現在の最終列車は勝田駅23時23分発になり、少し繰り上がっている。しかし上野発時刻は同じ。上野東京ラインの開通によって、東京駅や品川駅からも勝田に直通する。また、当時、那珂湊止まりだった最終列車は、現在は終点の阿字ヶ浦まで延長されている。
さらに、当時のダイヤ改正で列車の最高速度が時速50キロから60キロに上がった。また、勝田~那珂湊間の所要時間は45秒短縮された。わずか45秒とはいえ、それを勝田駅のJRからの乗り換え時間に振り向ければ効果は大きい。
自動車の一般道の最高速度と同等になったことも重要だ。自動車の速度に負けていれば、ドライバーから鉄道利用へ移転しにくい。鉄道は交通信号がないから、最高速度が同じならクルマより列車のほうが目的地に早く着くし、併走する区間で列車のほうが速くみえる。ドライバーは「列車に乗ればよかった」と思うだろう。
金上駅の改良工事も重要だ。金上駅は勝田駅と那珂湊駅の間にある。ひたちなか海浜鉄道は単線で、この区間に列車の行き違い設備がなかった。2010年に両駅の間にある金上駅の線路を増やし、列車の行き違いが可能になった。
その結果、朝夕の通学時間帯の運行間隔が約40分から約20分に短縮された。駅で最大40分も待たされるなら「自転車通学にしよう」とか、「親に車で迎えに来てもらおう」となるところ、20分ならまあ待てる。さらに、片道240回分で1年間有効の通学定期券を発売し、沿線の学校へ説明するために足を運んだ。こうして通学生の利用者が増えていくことになった。
2014年に「高田の鉄橋駅」、2021年には「美乃浜学園駅」を新設。美乃浜学園はひたちなか市が小中学校を統合した小中一貫校で、開校に併せて駅が作られた。鉄道を通学路にするという考え方だ。ひたちなか市のバックアップも大きかった。補助金だけではなく、コミュニティバス「スマイルあおぞらバス」と鉄道を連携させて、鉄道を基軸とした市内の公共交通ネットワークを作っている。




