海鮮バーベキューを、車内で楽しめる「グルメ観光列車」

「那珂湊のおさかな列車」ツアーは日帰りで、集合はJR常磐線の勝田駅に10時30分まで。解散は那珂湊駅で15時台だ。集合時刻は東京から特急「ひたち5号」に乗れば間に合うよう配慮した。解散時刻が少し早いけれど、勝田駅ではなく那珂湊駅としたので、おさかな市場やほしいも専門店、スイーツショップなど、街歩きを楽しんでもらうという趣向だった。

 メインコンテンツは那珂湊駅のプラットホームで行われた海鮮バーベキューだ。那珂湊漁協女性部のおかみさんたちが、炭火の上で貝やイカなどを焼き、あらかじめ用意されたお弁当と合わせて手渡してくれる。

那珂湊駅プラットホームでバーベキューを調理
観光列車の乗客に焼きたてを提供してくれた

 これらを走行中の車内で食べる。日本旅行北海道が函館発の「ながまれ海峡号」を成功させたスタイルを踏襲している。

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地元の美味いものを詰め込んだ弁当。12月にはあんこう鍋が加わった

 阿字ヶ浦からは貸切りバスで鉄道神社、ほしいも神社、国営ひたち海浜公園を巡る。国営ひたち海浜公園はメインゲートの混雑を避け、裏口的な「海浜口・風のゲート」に到着する。ここは「みはらしの丘」に最も近い。

 このツアーはこれまでに4回開催し、特に2025年12月14日の第4回は「あんこう」の特別メニューが効いて、発売開始から7日で完売となった。アンケート結果も概ね好評で、バーベキュー、お土産スイーツの満足度が高い。第4回では食事を楽しむための乗車時間を長くするため、国営ひたち海浜公園には立ち寄らず、勝田~那珂湊間を2往復(第4回は勝田~阿字ヶ浦間を2往復半)した。

 延伸区間の主な客は国営ひたち海浜公園の入場者、つまり観光客だ。観光客に鉄道を認知してもらうためにも、シンボルの列車が必要となる。観光列車は企画も集客も手間がかかるが、客単価を上げる効果もあり、運賃以上の収入をもたらす。そして、観光列車の食材などに関わる地元の産業にも恩恵がある。

 ひたちなか海浜鉄道の延伸は2段階で行われる。第1期は国営ひたち海浜公園南口ゲート付近までで、2031年春の開業目標だ。第2期は国営ひたち海浜公園西口ゲート付近まで。2035年度までの開業目標となっている。

 いままで、「便利」を追求してきたひたちなか海浜鉄道が、その熱意のまま、「楽しい列車」に本腰を入れる時が来る。その意味でも延伸開業が楽しみだ。

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