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「何もしないよりマシ」という落とし穴
加えて上のケースでは、「肩ベルトを外したとしても、腰は固定されているのだから、何もしないよりはマシ」という意識が働いているのかもしれない。しかし、こうした意識が子どもへの被害を招くケースは珍しくない。
消費者庁が医療機関による情報提供にもとづき、商品の安全な使用方法を啓発する「みんなの消費安全ナビ from 消費者庁」では、まさにこうした「妥協」が招いた幼児の重傷事故が取り上げられている。
たとえば2歳の子が後部座席のチャイルドシートに肩ベルトを外した状態で着座中、時速40kmほどで保護者の運転する車が電柱に衝突した事故がある。子どもはシートから投げ出されることはなかったものの、上半身が激しく振られ、車の側面に頭を強打。「頭蓋骨陥没骨折、急性硬膜下出血、脳挫傷及び脳神経の損傷」という重傷を負った。
このケースでも、やはり「子どもが嫌がる」という理由から、保護者は日常的にチャイルドシートの肩部分を外した状態で着座させていたという。頭部が重い幼児はとくに、肩部分の拘束がなければ衝突時に上半身の動きを制御できず、深刻なダメージを受ける可能性も高くなる。
上のように、保護者が意図的に肩ベルトを外したケースでなくとも、ハーネスの拘束が不十分で子どもが抜け出してしまえば、子どもは結果的に同様のリスクに晒されることになる。先に触れたように、ハーネスを十分に締めつけられていない保護者が多数いることを考えると、こうしたケースは誰にとっても無縁ではないのかもしれない。