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「近所だから」が招いた悲劇
子育てのなかでは、「泣き叫ぶ子どもにチャイルドシートをつける」というひと手間が、途方もない作業に感じられることもある。送迎で時間に余裕がない状況や、近距離の移動などではとくに、装着の手間を省略したくもなるだろう。
しかし「近距離だし大丈夫だろう」という判断が、思わぬ悲劇を招くこともある。
2016年2月に大阪市で軽乗用車が電柱に衝突した事故では、助手席に乗っていた3歳の娘が胸部圧迫によって命を落とした。後部座席にはチャイルドシートが設置されていたが、運転していた母親は「近所への買い物だから使わなかった」と供述している。
この事故では後に母親から覚醒剤の成分が検出されたが、直接的な事故の原因は「ダッシュボードから落ちた携帯電話を拾おうとして操作を誤った」というものだ。近場の買い物であっても、ミラーの角度や身の回り品の置き場など「運転の準備が整っていない状態」で出発してしまい、それが事故の原因となるケースも考えられる。
実際に、交通事故でもっとも多いのは「出発から30分以内」の事故だというデータもある。買い物や送迎など、「いつもの道」を使う場合には意識が緩みやすいが、そうした日常の光景が惨状へと一変するケースは決して珍しいものではないのだ。